あらすじ
男の子が、にんじんの種を植えました。
しかし、周りの人たちは、芽が出るはずないよ、と言います。
それでも、男の子毎日、お世話をしました。
だけど、芽は出てきません。
芽は出てこないよ、という周りの人たち。
それでも男の子はお世話を続けますが……。
可能性を信じる
ある男の子が、にんじんのたねを一粒蒔く。
お母さんや、お父さん、お兄さんは、
「め は でないと おもうけど」
……と男の子に言う。
でも男の子は毎日、草を取り、水をかけ、お世話をする。
芽は出ないという言葉に、なにも言い返さずに、だ。
しかし、毎日お世話しているのにも関わらず、やっぱり芽は出てこない。
待てど暮らせど、出てこない。
家族は何度も言う。芽なんか出てこないよ、と。
それでも男の子は毎日、草を取り、水をあげ続けた。
なにも言い返さずに、ただお世話をしている男の子。自分のしていることに、疑問も感じていない様子だ。
種から芽は絶対出る、と信じているのだろう。そのまっすぐさがかっこよくもまぶしい。
そしてある日、にんじんの芽が出てきたのだ。
周りからさんざん、芽は出てこないよと言われていたのにも関わらず、立派な芽が出て、そして……
男の子は、大きな大きなにんじんを収穫した。
あまりにでかすぎて、これはにんじんに似たほかの何かではないかとちょっと思うのだが、にんじんといっているからにんじんなのだろう。男の子の喜びに水を差したくない。
ほらね、
おとこのこが
おもっていた とおりに
なったでしょ
そう、彼はずっと信じていたのだ。
いや、芽が生えてくるのは当然と思っていたのかもしれない。それは確信に近い思いだ。
逆をいえば、彼がその確信を抱いていたからこそ、にんじんは実り、収穫できたのかもしれない。
物語自体はとてもシンプルなものだ。
しかし、そこには様々な解釈ができるよう、いろんな余地が残されている。
私は、この物語に、可能性を信じて、行動を続けていくことの大切さがこめられていると受け取った。
シンプルな話だが
シンプルな話ゆえに、おとなが読むと、いろいろな解釈ができる絵本。
幼児向けだろう。