あらすじ
古い銭湯にお母さんといった主人公の女の子。
この銭湯は初めてじゃない。
いつも行っている銭湯だ。
女の子は、水風呂が大好きだった。
今日も水風呂遊びに興じていると、ぬっと出てきたのは……。
銭湯には天女がいたんだ
キャラクターをすべて人形で作り、写真に撮り、それを使用するという一風変わった絵本。
しかしこの人形がいい味を出している。
ウワハハハ、と笑ってしまうこの絵本、不思議な話でありながら読後心温まる終わり方をする、魅力的な一冊だ。
なぜか関西弁で訳されているので、それでなくてもユーモア満点である。
銭湯に行く親子。
スパランドができても、お母さんは古い銭湯に行く。
泣かないであかすりできたら、お母さんはヤクルトを買ってくれる。
だから、主人公の女の子は古い銭湯でもいいのだ。
古い銭湯には、水風呂がある。
水風呂ってあの冷たい水の入った風呂のことだろうか……えっ、あそこに入る子いるの? 大丈夫? 風邪引かない?
しかし主人公の女の子は嬉々として水風呂に入っていく。
水風呂をキメていたら、なんと先客がいたではないか。
その人は……
その人は……
なんと、天女のおばあちゃん!!!!
なんともいえないありがたーい雰囲気が漂った天女のばあちゃんである。
天女のばあちゃんは、羽衣なくしてしまったからここにいるしかないと語る。つまり、自称天女……。
えらく迫力のある天女なので、みなさん一度見てみてほしい。
この迫力、どこかで……
どこか……
あっ、大阪のおばちゃんが年とったらこんな感じちゃうか!?
主人公の女の子と天女のおばあちゃんは水風呂の中をあれこれエンジョイする。
そして、天女のおばあちゃんは、ヤクルトを知らないことが判明する。
女の子は、買ってもらった自分のヤクルトをあげて、ヤクルト体験をさせてあげた。
あー、銭湯楽しかった。
……では終わらない。
その日の夕方、女の子は熱を出してしまう。
そりゃあな、水風呂遊びばっかやってるから……いわんこっちゃない……。
うーんうーんと熱にうなされる女の子。
夢か幻か、枕元の洗面器からにゅっと出てきたのは大阪のおばちゃ……天女のおばあちゃん!
おばあちゃんは女の子の額に手を当てて、「はよう ようなりおし」と言ってくれる。
そして女の子は風邪から快復する。
夢だったのかな、幻だったのかな。
でも、ありがとう、天女のおばあちゃん!
なんともいえない表情と、迫力のある存在感がひときわ目立っている天女のばあちゃん。
最初は羽衣なくしたとかホラふいてんだと思っていたけど、本物の天女だったのかもしれないと思わせる展開がおもしろい。でもなんで銭湯の水風呂にいるんだ、天女。
ウワハハハ、と笑ってそれからクスッと笑えるおもしろい絵本だった。
私は好きだ。
すべて写真で
人形の表情が細かく繊細に作られており、それがまた面白味に一役買っている。これはすごい。
そしてなにより、天女のばあちゃんの存在感がすばらしい。プリティオブプリティ。
幼児、低学年むけ。
天女のばあちゃんのプリティさは、おとなにも知ってもらいたい。