あらすじ
白菜畑のすぐ近くに、柿の木が生えていました。
柿の木は物知りで何でも良く知っていました。
白菜畑にちょっとはみ出たところに、小さな白菜が生えていました。
白菜は、他の白菜と同じように、トラックに乗って八百屋に行きたかったのですが、小さかったため、収穫されずにそのままにされてしまいます。
トラックに乗ってきたお兄さんは、白菜に、春になって、ちょうちょと遊びな、と言うのですが、白菜には何のことだか分かりません。
ショックを受ける白菜。
これから自分はどうなるのだろう……と泣きそうになっているところに、柿の木は優しく、先のことを教えてくれました。
そして冬を越し、春。
柿の木の元で、白菜は……。
柿の木と白菜の交流を優しく描く
暖かく、優しい気持ちに慣れる一冊だった。
タイトルのとおり、主人公は白菜である。
白菜畑の、ちょっとはみ出たところに生えた、小さな白菜。
それを見守るかのように生えている柿の木。
柿の木は物知りで、白菜の知らないことを教えてくれる。
まるでおじいさんと孫を見るようである。
彼らの心の交流を見ながら、小さな白菜がどうなっていくかを見守る。
畑の白菜はすべてトラックに積まれ、出荷されていく。
しかし、小さな白菜は出荷されることなく、そのままにされるのだ。
小さすぎて、売り物にならないからだろう。
「ちょっと ちいさいな
そうだ おまえは ここで はるを まってな
はなを さかせて ちょうちょと あそびな」
みんなと一緒に出荷されることを望んでいた白菜に、置いてかれるということは衝撃である。
心細く、寂しい思いをしている泣きそうな白菜に、柿の木は優しく、春とは何か、ちょうちょとは何かを教える。
柿の木の言葉に、白菜は絶望から、希望を持つ。
春になると、自分は大きくなれる。そして花を咲かせて、ちょうちょと遊ぶんだ……
春が来る間、眠る白菜の横にたたずむかのように生えている柿の木。
出荷されることはなかったけれど、こんなふうに寄り添ってくれる柿の木がいて、白菜は本当によかったと思う。
冬が過ぎ、春になって花咲かす白菜の隣には柿の木。
冬の間ずっと柿の木は小さな白菜を見守っていただろう。
彼がきれいな花を咲かせて、一番うれしいのは、柿の木かもしれない。
柿の木に隣にちょこんと生える白菜がかわいい
白菜がかわいい、と思ったのは本書を読んで初めてだが、柿の木と白菜の交流を見ていると、ほっと心が温かくなる。
春先の季節に読むといいかもしれない。
幼児、低学年向け。