あらすじ
あるお百姓さんの家に、子牛が生まれました。
子牛ははなこと名付けられ、かわいがられて育ちました。
しかし、このはなこは、わがままで、食べ物の選り好みをしたりするものですから、成長したときにはぴかぴかの身体をした立派な子牛になっていました。
あるとき、はなこは、他の子牛たちがいる草地へと連れてこられました。
そこで、女王を決める戦いが始まったのですが、立派に育ったはなこは、誰にも負けない牛に育っていたので、女王となりました。
女王となったはなこは、他の牛達を従え、自分だけがいいように振舞います。
あるとき、みんなにとカボチャと芋がエサとして差し入れられたのですが、はなこはそれをほとんど全部一人で食べてしまい……。
くいしんぼうというより、ワガママ子牛のはなこさん
あるお百姓の家に生まれた、牛のはなこ。
彼女はとてもわがままな牛で、食べ物の選り好みはするわ、ごちそうばかり食べるわで、むくむく大きくなり、ぴかぴかと光る身体を持つ立派な牛に育った。
そういうわけで、このわがまま牛のはなこが主人公の本書。
飼い主のお百姓さんが、他の牛たちが集まる草地にはなこを連れて行くのだけど、正直、冒頭からはなこのキャラクターが好きじゃなかった私は、その草地に集まったほかの牛達に、長く伸びた天狗の鼻をへし折られればいいと思っていた。
だが、そんな展開にはならず、さらにはその草地の女王としてはなこは君臨することになるのだ。
元々わがままな性格に育ったはなこ。
与えられたエサはみんなに分け与えず、自分が先に食べて、残ったものを他の牛たちに与える。暑いときに日陰にはいるときは自分だけ大きな日陰に。池の水は一番最初に自分が使って、後から他の牛達が使うようにさせる。
こんなはなこ、どこがかわいいのか。
しかし、女王になったものだから、まわりの牛達は、みんなはなこを持ち上げる。何だか、女のリアルさが垣間見える持ち上げ方でちょっと生々しさを覚える。
そのおかげで、はなこのワガママは更に過剰になっていくのだが、牛の飼い主たちも、はなこの姿を見て立派だと褒めるものだから、更に天狗に……。そんな調子なので、終盤まで、はなこが好きじゃない読み手には厳しいものが出てくる。
結局、はなこは、牛達にと与えられたかぼちゃとおいもの山をほぼ独り占めして食べたせいで、ガスがおなかいっぱいにたまり、まるまる膨らむという状況に陥る。正直いい気味である。
そして、お医者さんの手当てをしてもらったはなこは、木に繋がれ、二日間、安静にしながら、草地でのんびり過ごす仲間達を眺めていた。そして、はなこの心境の変化が起こり、彼女はもう、食べ過ぎたりいばったりしない牛になったのであった。
……という終わり方をするのだけど、あんなワガママし放題の意地悪はなこが、一度ガスでおなかがパンパンになったところで改心するとは到底思えない。というか納得できない。もっと派手に天狗の鼻が折れればいいのに……。
ほのぼの、というより、はなこのキャラクターが受け入れられるかどうかで、この絵本のよさは変わるだろう。
私はダメだったが、はなこの姿はかわいらしく描かれていると思う。
文章量は多く
文章量が多く、低学年向け。