あらすじ
クラスで畑を耕し、種をまくことになったまあちゃん。
先生に種をもらおうとしたら、口の中に飴があることを見抜かれてしまい、まあちゃんは自分の手のひらに吐き出しました。
まあちゃんは種をもらって、畑に埋めましたが、うっかり飴まで埋めてしまいました。
すると土の中で、種と飴たちが……。
人間の主人公まあちゃんにどうしても共感できない……
学校の授業で緑色の種をまくことになった、まあちゃん。
先生に畑にまく種をもらおうとすると、まあちゃんが飴を食べていることを先生に見抜かれてしまいます。まあちゃんは、緑色のメロンの飴を食べていました……
……うん、これがこのお話の大事な伏線になるのはわかるんだけど、学校で自分勝手に飴を食べてて、先生に改めて注意されないのもおかしいし、悪びれないまあちゃんもなんだか印象がよくない。
まあちゃんのこのもやっとした印象はお話の全体を通して漂っていて、種まきしても怠け者のまあちゃんはいっさい自分がまいた種に水をやらない、なんてエピソードも出てくるんですよね……。
それで芽が出てこなくて困った、とかなら、まあ怠けてたから仕方ないよね、で通るんですが、埋められた種たちは水がもらえなくて苦しがって、まあちゃんがうっかり埋めたメロンのあめ玉をなめて芽を出す力にする、という話の流れになるんですね。
それで、とれた豆がふつうの豆と違ってて、なんとなめるとメロン味のあめ玉の味がした、不思議だね!ってみんなで食べてにこにこ笑って、今日はまあちゃん人気者だねって終わり方をするんですけど……
……えええー……
水やりもやらないで怠けまくって、最後は不思議なメロン味のあめ玉が収穫できてみんなに振る舞って人気者になりました、って……
なんかまあちゃん、いいことひとつもしてない気がするんですけど……?
まあちゃんに共感はどうしても無理かなー……。
まあちゃんの棚からぼた餅的なハッピーエンドがどうしてももやもやして、正直、まあちゃんがあまり好きになれませんでした。
メインは、埋められた種と、飴のやりとりなのはわかるんですが……。
飴も飴で、自分はメロン飴だと主張するあまり、ほかの種になめられ尽くして消えてしまう、というのもなんだか……それでいいのだろうか……?という気持ちに……。
飴がおいしかったおかげで、バカにしていた種たちは「とびきりうまいメロンあめさま!」と飴に対する偏見を改めたものの、飴をなめつくして芽を出す力にした種たちもなんだか……。
それって、飴を犠牲に種たちは成長したってことですよね……?
そもそもまあちゃんが水やりしないせいでこんなことになったのでは……?
うーん、わあ不思議でおもしろい話だ!とはなれませんでした。
何となく、どの登場人物も感謝の気持ちを表現している箇所がないので悪い印象を受けるのではないだろうかと推測。
種たちはメロン飴のおかげで芽を出すことができた、とか、まあちゃんは水やりを怠けててごめんね、育ってくれてありがとう、とか、そういう感じの一言や場面があればだいぶ印象が違ったのでは。
ほかの子たちは水やりをしているのにふつうの豆ができて、怠けて水やりをしなかったまあちゃんがメロン味の飴が収穫できて、みんなに囲まれにこにこした(人気者になった)っていうのがなんだか納得いかない。しかも好き勝手にメロン飴なめてて、それを地面に埋めたおかげでって。
がんばれば報われるっていうのは日本の教育の弊害かもしれないけど、やっぱりどうにもしっくりこない。
お話そのものの展開や、絵は児童書としてすてきなだけに、複雑な気持ちになってしまったのが残念な一冊でした。
幼児、低学年対象の児童書
ページ数は多いが文章の量はとても少なく、絵がほぼメインのところも多くあります。種や飴の表情が何とも生き生きと描かれていて魅力的。
キャラクターが吹き出しでしゃべる場面も多いので、読み聞かせにはちょっと難しいものがあるかもしれませんが、読んでいて楽しい紙面です。
初めての児童書としても向いているでしょう。