あらすじ
あるところに、みかんが暮らしていました。
しかし、ある朝、目を覚ますと、なんと、実がなくなっていたのです。
外は危ないのに……!
みかんの皮は、実を探しに出かけました。
すると、同じように中身をなくした皮たちと出会い……。
みかんの皮だって走るんだ!
テンポがよくて、おもしろい。
この本の読み終わった感想だ。
ある朝目覚めたら、みかんは気がついた。
中身がない!!
そう、実の部分がなくなっていたのだ!
残っているのは、皮の部分だけ……。
そこで、みかんの皮は思い出す。
そういえば、実たちが、「ぼくたちもたまにはそとにでてみたいなぁ」と話していたことを。
つまり、実が家出したのである。
この絵面、すごい。
むきおわった後のみかんの皮が主人公なのである。
外の世界は危ないんだぞと実を探しに行くみかんの皮。
そして途中で出会うのは、中身が出ていったピーナツや中身がないバナナの皮……。
バナナの皮から、「実がないと我々皮はしなびて土に還ってしまう」という話を聞き、焦るみかんの皮。
早く、早く実を見つけださなければ!
ようやく実を見つけだしたみかんの皮。
いや……でも、一度むいちゃったみかんの皮、どうにもならんのでは……?
みかんの みが
なかにはいると
かわのやぶれめは
ピシッと とじました
え……すごい……
みかんが元通りになっとる……。
そしてパワー全開になったみかんは、バナナとピーナツの中身を探しに飛び出したのだそうな……。
展開がテンポよく、ページをめくる手が止まらない。
みかんの皮を主人公にした絵本もそうそうないのではないか。皮が「実ー!」、実が「皮ー!」と呼びあう場面など、なぜか笑えてきてしまう。この独特のテンポ、たまらない。
ピーナツとバナナがどうなったのか、最後のページにちゃんと描かれていてよかった。
読んで、ちょっと笑って、元気になれる絵本だ。
テンポのよさが光る一冊
みかんの皮を主人公に据えるという奇抜さと、独特のテンポのよさが合わさっておもしろい絵本。
話もおもしろいので、読み聞かせにも向いていそうだ。
幼児、低学年向け。