あらすじ
ぐうたらなごさくが寝ていると、ある日、床下から、声が聞こえてきた。
床下を見てみると、なんとそこにはだいふくもちがいた。
おなかが空いた、小豆を食わせろというだいふくもちに小豆を食わせたところ、だいふくもちは小さなだいふくもちを次々と産んだ。
その小さなだいふくもちを食べてみると、まあこれがおいしいの何の。
ごさくは、そのもちを売って商売を始めることにした。
このおいしいもちは大当たり。
ごさくはたちまち、お金持ちになったが……。
だいふくもちがだいふくもちを産む……
ごさくという、ぐうたらな男が、ある日、床下から不思議なものを見つける。
その不思議なものは、腹が減ったから小豆を食べさせろという。
方言で書かれる会話が、昔話の雰囲気を漂わせる。
かなり方言が強めで、前後の文で意味を推し量る箇所も多々。
だが話の展開がおもしろくて、物語に引き込まれてしまう。
さて、床下から見つかった、不思議なもの。
何者だとごさくが聞くと、なんと、自分は「だいふくもち」だというではないか。
なぜに、「だいふくもち」がごさくの家の床下にいて、腹を空かせているのか? 残念なことに、この謎は解き明かされない。
とにかく、ごさくの家の床下には、しゃゃべるだいふくもちがいて、腹を空かせていたのであった。
だいふくもちが小豆を食わせろとうるさいので、ごさくは仕方なく、小豆をだいふくもちに食べさせてやる。
すると……
なんと、だいふくもちは小さなだいふくもちを産んだ……
ぽこんと こんまい だいふくもちを うんだ。
何がなんだかわけがわからない展開である。
読み手同様、ごさくもこれには驚いた。
ごさくが たまげて みておるうちに、だいふくもちは
こんまい もちを つぎつぎと うんだ。
怖い。想像すると怖い。
しかし、ごさく、このこんまいもちがおいしそうに見えたので、だいふくもちに食べていいか、と尋ね、食べていいよと許可をもらうと、このこんまいもちを食べてみるのである。
そんな、得体の知れないものを食べて大丈夫なのか……。
そんな心配をよそに、食べてみたもち、とてもおいしかった。
こんなおいしいもちを食べたことがないと言わしめるほどである。
それから毎日、このこんまいもちを食べてばかりいたというのだから、相当おいしかったのだろう。得体が知れないもちだが……。
だいふくもちに小豆をやるだけで、こんまいもちが次々できる。
人間というのは欲深なもので、ごさくもまた、このもちを売ればもうけられるのではと考える。
そして、この商売が大当たり。
こんなおいしいもちは食べたことがないと評判になり、ごさくは一気にお金持ちに。
そんな得体の知れないものを売りさばいていいのか……?
大丈夫なのか……?
というか、だいふくもちはいったいなにものなんだ……。
ひとたびもうけると、もっともうけたいと思うのが人間のサガ。
ごさくは、いつもより山盛りに、だいふくもちに小豆を食わせる。
すると、とうとう、だいふくもちは小豆を食べなくなってしまった。
どうやっても食べなくなってしまったので、理由を尋ねてみても、だいふくもちはしゃべらない。
そしてだんだんしなびて、豆粒ほどになってしまう。
そのころから、ごさくも食欲がなくなり始める。だいふくもちはしなびて消えてなくなってしまい、ごさくもまた……
かねぐらのなかに、
ごさくの きものと たびが
しょぼんと おちておったそうな。
まさかのバッドエンドに驚きである。
いったい、だいふくもちはなんだったのか。なぜだいふくもちが消えるとごさくも消えてしまったのか?
考察がはかどりそうな終わり方である。……不気味だけど。
方言がややきつめ
方言がややきつめで、意味が分かりづらい部分がある。
前後の文脈で何となくわかるので、話が全く不明というわけではない。
昔話風だが、結末がかなり不気味な終わり方をする。怖い。
対象は低学年からだろうか。