人はみんな旅人
リヤカーマンとは、リヤカーを引いて、歩いて大陸を横断することを繰り返している旅人、永瀬忠志氏のことである。
彼は19歳のときに日本縦断を果たしてから、一時資金集めなどに何年か労働した以外、ずっとリヤカーを引いて歩いて大陸を横断、縦断している。
本書は、そんな旅人、永瀬忠志氏が書いた本である。
写真と、シンプルな文章によって構成されている。物語性はなく、彼の冒険への思いや、生き方への力強い思いがつづられている。
彼がなぜ、リヤカーを引いての旅を始めたのかは、詳しく書かれていない。しかし、続けている理由は、伝わってくる。
自然と人々の出会いが、彼を旅に駆り立てているのだ。
リヤカーを引いての旅は、楽ではない。きっと、苦しいことのほうが多いはずだ。
彼自身、「どうしてこんなことをしているのか」と自問したこともあると書いている。だが、その答えは、ゴールについたときの充実感や達成感に形のない答えとして、彼の中に宿るのである。だからこそ、ゴールしたら、次の旅について思いを馳せている。
歩き続ける旅人の書く文章は、力強く、迷いがない。
立ち止まっていても何も始まらない。何も動かない。できないと思ったことも、自分のできることを積み重ねていれば、できるときがやってくる……
一歩一歩、かみしめるようにリヤカーを引いてきた永瀬氏の言葉だからこそ、ずっしりとした重みを感じる。
先が見えない不安を、「だからこそおもしろい」と言う永瀬氏の言葉は慢性的に漂っている不安を照らす言葉のようだ。
人生は旅のようなものである。
いろいろなものを積み込んだリヤカーを、私たちは引いて歩いている。先行きが分からず、途方に暮れる。立ち止まってしまう。元いた場所に戻りたいと思う……
人生も先が見えないからこそおもしろいという考え方は、不安にとらわれがちな私にとっては、まぶしい考え方だ。こんなふうに考えられたら、どんなに毎日が変わって見えるだろう……。
どうすれば、こんなふうに思えるのだろう。
変わりたい。
私も変わりたい。
でも、何をすれば?
私ができることをひとつずつ積み重ねていけば、私は変われるのだろうか。私ができることとは、いったい何だろう。
真っ青な空の下、リヤカーを引いて歩く永瀬氏の姿を見ると、私が見ている世界はなんて小さいのだろうと思い知らされる。人の目を気にして、うまく立ち回れない自分を責めたりして……いったい、私は何をしているのだろう?
今日、何かいいことがあるかもしれない。
そう信じて、朝の一歩をふみ出せ。たえて、たえて、悲しくなってもたえていけ。
旅の99パーセントはつらいことばかり。
でも、のこり1パーセント、
歩いてよかったと思えるしゅんかんがある。
ハッとし、そして心に重く響いた。
歩き続けるしかないのならば、1パーセントの喜びを信じて、歩くしかないのだ。
リヤカーマンの言葉は、分かりやすく、シンプルでいて、かつ力強い。
私は勇気をもらい、そして、慰められた。
歩いていくしかないのなら、自分のできることを積み重ねていって、その1パーセントを味わうのだ。
「決断のとき、心の比重が重い方(心の強い方)へ行け」
「先が見えないと不安だが、だからこそ、おもしろい(人生は先が見えなくて不安になるが、思い切り、生きていけ)」
彼の冒険スピリットは、人生という旅をしている私の心にとても大きく響いた。
写真と力強い言葉がメインの本
リヤカーを引いている永瀬氏が写っている写真をメインに、力強い言葉がつづられる。
内容的に、高学年からティーンズ向けだろう。
物語性はない。
読み聞かせには不向きだ。
おとな向けとしても、心に響くものがあるかもしれない。
