あらすじ
卵から生まれたネコ、マイティ。
彼は歌を歌いながら、楽しいたびに出ました。
そこで出会ったのは、三角形さん。
三角形さんは、マイティの歌声がほしいとお願いしてきます。
マイティは、三角形さんに自分の歌声をあげました。
なおも旅を続けていると、今度はまんまるさんに出会いました。
彼は、マイティに、手と足と尻尾がほしいといいます。
マイティはまんまるさんに手と足と尻尾をあげました。
顔と胴体だけになったマイティは、それでも旅をつづけて……。
かわいいネコの楽しい旅は
表紙に描かれた、タマゴから生まれた猫がかわいすぎてたまらない。
この子がこの絵本の主人公のマイティ。
カラフルなネコだが、ページごとに色合いが違っていて、面白い。
この絵本、何だかウキウキわくわくするような雰囲気がたっぷりと詰まっている。
マイティがカラフルなネコだからだろうか。なぜか分からないが、眺めているだけで、気持ちがちょっと明るくなっていく。
タマゴから生まれたマイティは楽しい旅を始める。
その先で、マイティはさまざまなもの──三角形さんやまんまるさんなど、形だけのものに出会い、歌声や手足をくれとお願いされて、マイティは気前よくあげてしまうのだ。
歌声をあげてなくしてしまうのは、不便だろうがまあ分かる。しかし、次に手と足と尻尾、その次は体をあげてしまって、頭だけになる展開を見て思わず驚く。絵柄がカラフルでポップなのでそんなに衝撃はないが、良く考えてみると怖い。
マイティは体もあげてしまったので、ついに自分で身動きがとれなくなってしまった。見ようによってはとてもかわいそうなのだが、マイティはあげなきゃよかったなんて後悔はしない。
「やれやれ これから どうしよう」
そんな感じでまったく暗いがところがない。
そしてついに最後は、太陽に顔をあげてしまうマイティ……！
「わたしに マイティさんの かわいいかおをもらえれば
もっともっと せかいをあかるく てらすことができるのに」
「いいともさ。わたしの かおを あげましょう」
マイティ、安請け合いすぎる……！
全部ほかにあげてしまったマイティは真っ白な顔だけになって、何だか悲しい気持ちになる。
マイティ、もう死んでしまったのだろうか……。
すると……
なんと、ぽかぽかと太陽に温められて、マイティは深い眠りにつき、ついにはまた、白い卵になったのだ！
そして、彼は再び、卵の中から出てくる。そのときの、ご機嫌な一言。
Hello!
そしてまた、彼は楽しい旅を続けるのだ。
歌を歌いながら。
きっと、さんかくけいさんやまんまるさんみたいに、望まれればまた手足や歌声をあげてしまうんだろうな。
何だか、落ち込んで元気のない人を励ましているみたいに見える。
彼はさんかくけいさんに歌声をあげたとき、こう会話している。
「これでまいにちが たのしくなりますよ」
「よかったよかった がんばってね、さんかくけいさん」
マイティを見て、なんだか心励まされる気分になるのは、彼が太陽のように明るく、温かく、何より楽しげでいるからだろう。
旅する卵生まれのマイティ、かわいくて、とびきりご機嫌だ。
文章は少なめ
文章は少なめ。何より明るくポップな色使いで描かれたマイティがかわいい。
話はやや抽象的だが、面白みのある内容である。
幼児、低学年向け。
