あらすじ
ねこのピートは、新しい白い靴で散歩に。
嬉しくて歌いながら歩いていると、苺の山に登ったせいで、白の靴が赤の靴になってしまいました。
でもピートはないたりしません。悲しんだりもしません。
これもいいかも!と、彼はまた歌いだします。
あかい くつ
かなり さいこう!
そして、彼は散歩を続けていくのですが……。
前向きに明るい、ネコのピートのポジティブさが伝わってくる絵本。
明るく前向きな考え方を教えてくれる絵本
読んだら、明るく前向きになれる絵本だった。
最初、ネコが四本足にしっかり白いシューズを履いているのを見て、ちょっと無理があるのでは……などと無粋なツッコミをしていた自分が恥ずかしい。
内容は、ピートというネコが履いている白いシューズが、歩いたところによって色が変わってしまう、という、とてもシンプルなもの。
彼のお気に入りの真っ白のシューズが、苺の山を歩いたせいで赤くなってもピートはないたりなんかしない。
「いいかも!」と思い、彼は歌すら歌うのだ。
あかい くつ
かなり さいこう!
赤いシューズが、青に染め変わったときも、ピートはへこんだりしない。
あおい くつ
かなり さいこう!
いつもいつでも、ご機嫌に歌うのだ。
ネガティブによりがちな人間にとって、ピートの生き方は眩しくて、ちょっとうらやましい。
そんな感じで、靴の色がさまざまに変わっていくのだが、ピートはそのたびに、このくつかなりイケてる!といった感じにご機嫌に歌い続けるのである。
とにかく ピートの かんがえは こう
なにが あっても
うたを うたって
まえに すすむってこと
心にしみてくる、前向きな言葉だ。
生きていると、辛いことや苦しいことがたくさんある。歩みを止めてしまい、そこから歩けなくなることもある。立ちはだかる壁が大きすぎて、絶望するときもある。
そんなときはピートの考えをそのまま実行にうつすことは難しいが、ピートのような考え方もあるのだということを知るだけで、硬くなっていた心が柔くなる感じがする。
彼は濡れたシューズすら、最高!と言っているが、普通に考えれば、濡れたシューズなんて、気持ち悪くてたまらないはずだ。
だが、彼は、濡れたシューズのまま歩き、
ぬれた くつ
かなり さいこう!
と歌っているのである。
これはまるで、何かの難関にぶちあたったときも、前に進んでいることを表しているように見える。
そう それが だいじ!
きょうも かなり さいこう!
彼はそう言って散歩を終えるのだが、思えば、今日は最高の日だな、なんて思って一日を終えたのはどれぐらい前だろうか。
細かいことにこだわって、今日もだめな日だったとベッドに倒れこむ日が多いのに気づかされた。
ピートのように、「今日もかなり最高!」と考えられるようになれれば、どんなにか日々が生きやすく思えるだろう。
明るく前向きになれる、眩しい光のような一冊だった。
ネガティブに負けそうな人に読んで欲しい一冊
文章量からして、幼児、低学年向けだが、ネガティブに陥りがちな人に読んで欲しい一冊。
本書のピートの前向きさに心が少しだけすくわれるかもしれない。
楽譜が読める人は、歌もついているので歌って楽しめる。
読み聞かせ映えもする絵本である。