マイマイは、ちいさなちいさな弟、ナイナイを見つけました。
マイマイとナイナイの不条理な夢
ある日、マイマイはちいさいちいさい弟ナイナイを見つけました。
あまりに小さいのでお母さんには見えず、お父さんにも見えませんでした。
マイマイは、小さい弟ナイナイを、くるみのからにいれました。
大きな森に花をつみに行くと、白い馬が走ってきて、マイマイを蹴飛ばしました。そのせいでマイマイの右目が壊れてしまいます。
壊れた目の代わりに、マイマイはナイナイの入ったくるみをはめます。
まばたきすると、くるみも開いて閉じます。
ちいさいナイナイは、くるみの中から、外を見ます。
マイマイが眠っているとき、ナイナイはからを開け、外を見ました。
部屋の中には夜の夢が広がっていて、ナイナイは夜の夢の尻尾を捕まえ、くるみの殻の中に引きずり込みました。夜の夢は、マイマイの頭の中に流れ込みます。
夢を追い出してと嫌がるマイマイ。夜が明けても夢は消えず、頭の中から出て行きません。
いっしょに遊ぼうと夜の夢に誘われて、ナイナイはくるみの中から飛び出します。
からっぽになったくるみに、夜の夢はマイマイのこころを押し込みました。
ナイナイは夜の夢でくるみをつつみ、その上に腰掛けました。
そのために、マイマイの心はくるみの中に入ったまま、外に出られません。
誰かマイマイを助けて。
考察するダークファンタジー
思わず全部のあらすじを書いてしまいました。
すみません、正直、どう紹介したものか……うーん……話が難解で、そのまま読んだだけでは内容がよくわからなかったのです。
弟ナイナイはマイマイにしか見えない存在。
ナイナイとマイマイが仲良しかどうかは若干疑問が残ります。
夜の夢を追い出して、とマイマイがお願いしているところからして、マイマイにとって夜の夢は歓迎されない存在なのは確か。でもナイナイはそんなマイマイの訴えを聞き入れず、夜の夢に誘われて一緒に遊んじゃう始末。
ナイナイはマイマイの味方ではないということなのか……
くるみの中にマイマイのこころを押し込んで、あまつさえ、マイマイの心を閉じ込めたくるみを夜の夢で包んでその上に腰掛ける……出てこないようにしているようにも見えます。
ナイナイを見つけたとき、マイマイはナイナイを大切にくるみの中に入れました。マイマイはナイナイを大切に扱っているのです。もしかしたら、ナイナイという存在は、マイマイの中にだけ存在するものかもしれませんが……。
しかしナイナイはマイマイのその待遇にも関わらず、夜の夢を目にした事で、ナイナイはマイマイの心を自分がいたくるみの殻の中に閉じ込めて、夜の夢と一緒に遊ぶことにするんですよね。
得体の知れないものに取って代わられていく恐怖、という感じでしょうか。
最後のページの明るく希望にあふれた絵が気になります。そこには、「ねえ。、きみ、たすけてやって」と一文、読者に訴えかけて終わります。なんと意味深な終わり方。正解が見えません。
誰にも見えない小さな弟、くるみの殻、夜の夢……
深読みできそうなキーワードがちりばめられた、そこは不条理なダークファンタジーの世界。また絵が良い意味でおどろおどろしく美しく、インパクト大。夜の夢などは、圧巻。
考察を重ねれば楽しめる内容かとは思いますが、子ども向けかといえば多少疑問が残ります。
話が奥深すぎて、おとなでもよく理解できない。考察する楽しみがありますが、それはあくまでおとな向けの楽しみ。小学校高学年でも、内容が難解でしょう。