「はこ」にとらわれてしまった少女のこころは──
淡々とつづられる物語、不安な気持ちにさせていく
ある日少女は、はこを見つけます。
開かないはこ。振ると、コソコソ音がします。
雨の降る日、そのはこが開いていました。
中はからっぽ。
メダカがいなくなりました。
からっぽだったはずのメダカのえさのはこが、開かなくなってしまいました。
振ると、カサカサと音がします。
風の吹く日、そのはこが開いていました。
中にはほこりしか入っていませんでした。
次はハムスターがいなくなりました。
引き出しが開かなくなりました。ノックするとカサコソ音がする。
曇りの日、開かない引き出しが開いていた。
中には小さな骨のかけらが……
考えれば考えるほどに薄ら寒くなってくる話
うーん、難しい。お恥ずかしながら一読したところでは、頭の中が「?」でいっぱい。残ったのはそこはかとない不安感でした。
話が難解でよくわからない。途中で唐突に入ってくる誕生日ケーキの場面が何だか無性に怖い。
何かがいなくなると、はこが開かなくなる。
なくなるものが、
?→メダカ(箱を振るとカサカサ)→ハムスター(カサコソ)→いぬ(ベチャベチャ)→?
つまりはこの中になくなったものがいる?というわけでしょうか……?
開かなくなったはこが開くとまた何かがいなくなる、と少女は関連付け、もしかしたら次はお母さんかもと不安にかられて、お母さんを探しに行く……
とすれば、最後の結末は……
箱に入ったのは……。
箱に入ったのは……。
解釈が難しい怖い絵本
意味深な展開がうすら怖い一冊。
いろいろな解釈ができそうですが、それがまた怖さを呼ぶ構成となっています。
絵も雰囲気たっぷりで、長く伸びる母親の影や赤いクローゼット、誰もいない教室など、薄気味悪い印象を与えてきます。
正解の解釈が分からないのがまた落ち着かない気分にさせます。
内容が難解な部分を含むため、小学校高学年からが対象でしょう。
おとな向けでもあるかもしれません。