あの有名な植物学博士で自然哲学博士のボンバストゥス・ドゥルシメールが、その手で作り出した不思議な植物を集めた図鑑。200年あまり前の内容でありながら、時の流れを感じさせる事なく、彼の作り上げた様々な不思議植物の姿がよみがえります。
不思議な植物を紹介する絵本
あの有名なボンバストゥス博士が作り出した植物の図鑑です。これは手に取らなければうそになりますよね。何せ、かの有名なボンバストゥス博士です。これは手にしない理由がない!
あの「迷路ヒバ」、「馬車カボチャ」に「望遠鏡オオカナダモ」、最近再度注目を集めている「ソーラーパネル ヒマワリ」も載っています。そうそう、「鉄柵ヒイラギ」を設置しようかと検討されているかたも多いのでは? もちろん、「音楽フランスギク」も外せませんよね。このごろは、女性の間で「ティアラ イラクサ」の需要も高まっているそうです……
……そんな空想の植物を紹介する絵本が『ボンバストゥス博士の世にも不思議な植物図鑑』です。タイトルに「図鑑」とあるのですが、一般的な植物図鑑のような構成ではなく、イラスト中に不思議な植物を配置し、名前と解説を載せているといった構成になっています。イラストも大変特徴的な絵柄で、ややアート寄りな印象を受けます。そんな構成と装丁なので、本当に「図鑑」的なものだと思って手に取るとちょっと「思っていたのと違う……」となるかもしれません。
本の大きさも絵本の中ではかなり大きいほうの部類で、B4変形の48ページ。つまり、大きくて薄い印象がぬぐえません。
それでも紹介されている不思議な植物は本当に不思議で面白いので、想像力がかきたてられて見ていて楽しいです。絵も特徴的なのもあいまって、とても幻想的。こんな植物があったら、なんて思いをはせる楽しみ方が出来る一冊です。
本文はやや硬い文章。論文調の文章が多。
文章が論文調で、ウェットに富んだユーモアや皮肉も見られます。文脈を完全に理解するのには、ある程度の読解力と知識が求められます。また、簡単な漢字には読み仮名は振っていません。小学校低学年には難しいでしょう。高学年から楽しめる一冊ですが、どちらかというと絵柄もアート寄りなので、おとな向けなのかもしれません。
余談ですが
訳者のあとがきはせっかくのメタ要素を台無しにしてしまっているのでは……? もちろん、「それ」はみんな疑問に思うことなんですけれど。