今こそおとなに向けて絵本を推したい3つの理由

    絵本は小さい子どもの読むものだ、と世間一般では思われていることと思います。
    実際、子ども向けを意識して出版されている絵本がほとんどでしょうし、絵本の一番の読者は子どもなのだと思います。
    でもそこであえて、おとなに絵本を推したい! あえて!

    絵本はストレス社会で疲れた心を癒す!

    おとな絵本なんていうことばが一時期ひそやかに(……いや大々的に?)流行った時期がありました。ストレスで疲れた心を癒すサプリとしての絵本。絵本なんて子どもの読み物、と思われる向きもありますが、いやいやそんなことはない! 絵本ほど癒しになるものはありません。楽しい話、感動する話、悲しい話、さまざまなお話が、ほんの数十ページぎゅっと圧縮されているのですから。しかも大抵は、フルカラーのイラストつきで! これに乗っかって想像の翼を羽ばたかせない手はない!

    忙しいとは心を亡くすと書きます。ストレスで心をなくして、物事に対して感情が動じなくなっていませんか。これは大変な危険信号。
    感情が動かなくなってきているということは、あらゆるものに心が動かなくなってしまっているということ。腹立たしいことや傷ついたことに鈍感になったのなら、それは些細なことに動揺しなくなったから生きやすくなったということではないか、と思えるかもしれませんが、ん? ちょっと待って! 腹立たしいことや傷ついたことに鈍感になったということは、楽しいことや嬉しいことにも心が動かなくなってしまっているということ。何を見ても「ああ、そう……」と無関心になっていくのが一番危険なのです。

    そこで絵本です!
    子どもだましだなんて気持ちは一旦横においておいて、色とりどりの絵本の中から、気になった一冊を手にとって見てみたら、新しい世界がすぐ目の前に広がるはずです。
    または、昔子どもの頃、お気に入りだったあの絵本を何年ぶりかに手にとってみるのもいいかもしれません。懐かしさとともに、おとなになった今だから見れる、あの頃とはまた違った世界が広がるはずです。

     

    絵本は読むのに時間をとらない!

    絵本はページが短く限られているので、文章とイラストと一緒に展開していきます。文章を読むのに疲れを感じるようなら、文章のない絵本だってあるのです。
    一冊を読むのに何週間、何ヶ月もかかる絵本はほとんどないといっていいでしょう。

    何かと忙しいのが現代人。そこで絵本です!
    絵本は映画を見るほどには時間をとらない! 絵本は話題のベストセラー小説を読むほどには時間をとらない!
    そして何より、楽な格好で読める! どんなひどい服装でも、どんなひどい姿勢でも、どんな怠惰な状況でも読めるのです。
    少しの時間で、ゆったりと心を遊ばせることができるのが、絵本なのです。

     

    絵本はなんの準備も必要としない!

    心の休暇のため、美術館や博物館に行こうと思い立つ人もいるでしょう。旅行に行きたいな……と思う人もいるはずです。美術館、博物館、旅行、どれも最高! 命の洗濯最高!
    でも、「予算が……」「計画をたてるのが面倒……」「日程を調節するのが……」なんていう数々の壁が立ちはだかっているのもまた事実。

    そこで絵本です!
    絵本を開けば、そこはもう、ジャングル、砂漠、海、はたまた火の中、水の中。素敵な絵画がかかった美術館、絶滅した恐竜にだって会える博物館。宇宙の秘密を目の当たりにしたり、生命の歴史を学んだりもできるのです!

     

    絵本は文化だ!

    無理に絵本をおすすめする気はありません。
    他にストレス発散方法を持っているのなら、それに打ち込むことが心身の健康にはいいのでしょうし、旅行だって計画からが楽しいというかただっているはずです。

    でも、絵本は子どものためだけのものだと自分に制限してしまうことは、とても残念なことだとは思いませんか。
    自分に制限しないこと、それが心の健康にとてもいいのです。

    近頃では、おとな絵本としてさまざまな絵本も出版されています。
    絵本を使っての研修も行われているのだとか。
    絵本は心を癒すだけではなく、いろんな感情を心にもたらしてくれます。
    喜び、悲しみ、楽しさ……それだけではありません。登場人物たちの心の機微を読み取ったり、推し量ったり、凝り固まってしまった心を溶かすのに最適です。

    昔愛読していた絵本、今はどうなっているのだろう……? そう思うと、ちょっと気になってきませんか?
    「なあに愛読していたあの絵本はもう何十年も前のものだから、とっくに絶版になってしまってなくなってしまっているよ」なんて思っているのではありませんか?
    ところがどっこい、何年も何十年も絵本は読みつがれていくものなのです。子どもの頃読んでいた絵本を自分の子どもに与えるかたも少なくありません。ひょっとしたら、記憶の片隅に追いやっていたあの絵本、まだまだ現役で頑張っているかも。

    選択肢に、「じゃあひとつ絵本を読んでみようか」という項目が追加されたら、これほど嬉しいことはありません。