あらすじ
魔女になったばかりのリトルは、仲間の魔女たちとうまくなじめずにいた。
ハロウィンの夜、月磨きの競争に出たリトルだったが、人助けをしたせいで競争にも参加できなくなってしまった。
どうして、自分はほかの魔女のようにできないんだろうと落ち込むリトル。
しかし、奇跡はリトルの身にも起きたのでした……。
ハロウィンと魔女
ハロウィンの夜はわくわくする。
ハロウィンの習慣が今一つ根付いていない日本に住んでいても、ハロウィンの雰囲気が好きな人は多いだろう。
本書は、ハロウィンの夜、そして魔女のお話である。
魔女になったばかりのリトルは、ハロウィンの夜に魔女たちは集まらなくてはならないのに遅刻していた。
なにをしていたかというと、あれこれ忘れ物があったり、捜し物が見つからないとかで遅れているのである。……もうちょっと前もって準備するとかすればいいのに……と思うのだが、彼女、三週間前に魔女になっばかりというのだから仕方のないことなのかもしれない。
そんなわけで、仲間の魔女たちからの評価は低いし、あまり受け入れられていない。お荷物だと思われている節すらある。
そんなリトルがようやく集合場所についた。
そもそもなんで集まったのかというと、魔女はハロウィンの日に月を磨きに行くのだそうだ。
ほうきに乗って月まで競争ということになった。
一番に到着したものには、景品がもらえる。クモの巣で作られた、ベールである。
リトルもそのベールがほしかった。
だから、新人の身でありながらも、競争に参加したがったのである。
競争が始まった。
しかし、リトルは魔女になったばかりで、ほうきにも満足に乗れない状態である。しかも、リトルは、ほかの魔女たちとなじめずにいた。魔女が面白がるいたずらや意地悪を、自分もやろうとは思えなかったのである。
ほうきにはうまく乗れないわ、なじめないわ、明らかに浮いてる自分の存在。
しかもリトルは、月への競争が始まっているというのに、人助けをしたりして、早くも離脱状態に陥った。
がっかり落ち込むリトル。
自分はどうしてほかのみんなと同じにできないんだろう、と思ったことだろう。毒キノコに腰掛けて、なきべそをかくリトル。
肩を落としているリトルに、クモが巣を掛けて……
仲間の魔女が帰ってくるときには、すっかり、美しいクモの巣のベールができあがっていた。
なかまの魔女たちは、そんなすてきなベールをどうしたんだと問う。
リトルは、正直に、人助けをしたこと、困っているものを助けていたらべべたになったことを話す。
その話を聞いて、魔女の一人が、合点が行ったように言った。
リトル、おまえ、「やさしい魔女」なんだ。
まれに魔女にいるらしいという、「やさしい魔女」。
リトルは、その「やさしい魔女」だったのだ。
自分が何者かわかって、リトルはぱっと心に光がともるようだった。
相変わらず仲間からは疎まれたり、いやがられたりするが、自分が「やさしい魔女」であると知って、心のもやがすっかりはれたのである。
私は「優しい魔女」。
そのアイデンティティを胸に、リトルは立派な魔女になっていくことだろう。
絵本として出ているが
絵本として出ているが、文章の量がとても多い。
児童書として出ていてもおかしくないほどの量である。
一人読みできるのは、中学年からだろう。
ハロウィンの季節に読みたい。