あらすじ
ワシテは絵を描くのが大嫌い。
だから、図画の時間は不機嫌です。
紙に何も描かずにいたら、先生がやってきて、吹雪の中の北極グマねと言うので、何も描いていないだけよと言い返すほどの不機嫌。
先生は、白い紙に、何かしるしを書いてみてと言います。
ワシテは半ば投げやりに、マーカーで点を書きました。先生はそれを見てから、ワシテにサインをするように求めてきました。
ワシテはサインぐらいなら……と点を書いた紙にサインをしました。
そして、次の週の図画の時間……。
まず始めてみること、それが大切だ
苦手だ苦手だと思っていると、心の底から苦手になってしまうのよくあることで、私などは未だに数字が苦手だ。
この絵本は、絵を描くことが苦手で、大嫌いになってしまったワシテが主人公である。
ワシテは、絵を描くのが大嫌いなので、お絵かきの時間も何も描かない。そこへ先生がやってきて、真っ白な紙を見て、
「あら! ふぶきの なかの
ほっきょくぐまね」
……という。
こんな小手先だけのフォローなんてものは、筋金入りの大嫌いには逆効果。ワシテにも逆効果だった。
先生のフォローにさらにかたくなになるワシテ。
だいぶ態度が生意気なのだが、まだ会話ができるだけマシといったところだろうか。
先生は、そんな態度を怒るでもなく、叱るでもなく、白い紙に何かしるしをつけてみて、とワシテに言う。
逆ギレしているワシテは……
ワシテは マーカーを つかむと
かみに ちからいっぱい おしつけた。
「これで どう!」
すばらしいキレっぷりである。
何がそんなにワシテを怒らせているのか。そんなに図画の時間が気に障るのか……とにかく、ワシテにとって、図画の時間は苦痛でいらだたせる時間のようだ。苦手なので、苦痛なのだろう。
さて、白い紙には、ワシテが投げやりに書いた点がひとつ。
先生はそれを見て怒るどころか、叱るわけでもなく、「サインして」との一言。
ワシテはまあ名前ぐらいなら書かんでもないとサインをする。それが先生の策略だとは知らずに……。
そうして、次の週にお絵かきの部屋に入ると、ワシテはびっくりする羽目になった。
なんと、ワシテの書いた点、それが立派な額縁に入って飾られているではないか……!
いやあ先生、グッドジョブである。
うがってみれば、ちょっと皮肉が利いている気もするが、先生もだいぶ勝負に出ている感じがする。
これがワシテをさらに怒らせるか、やる気に火をつけることになるか……
「ふーん!
もっと いい てんだって
わたし かけるわ!」
……やる気に火をつけることになったようである。
これがきっかけで、ワシテはお絵かきに目覚めていく。しかしなんといってもすてきなことには、彼女は自分がお絵かきに目覚めたきっかけは先生の「点」であったと自覚しており、絵を描くのが苦手だという男の子に対して、同じことをしてあげるのである。
そう、男の子の書いたぐにゃぐにゃの線の絵に、サインして、と。
苦手意識も、ちょっとしたことから変わることもある。
思いこみを捨てて、見方を変えてみれば、苦手も得意に変わる……かもしれない。
ワシテに点を書かせた先生、教育の持つ力の偉大さを教えてくれるようである。
シンプルな絵とシンプルな文章
シンプルだが味のあるイラストと、シンプルだが分かりやすい話の展開ですらすらと読める。
低学年向け。
