『なにも もたない くまの王さま』──自分のしたいことだけをする生き方

あらすじ

ある日、くまの王様はお城を飛び出しました。
そして一人暮らしを始めました。
おしろでは、自分のしたかったことができなかったからです。

自分で自分のことをするという喜び。
くまの王様は、毎日楽しく過ごします。

自分のしたいことだけをして過ごすという、くまの王様。
お城を飛び出したくまの王様は、もうなにも持っていません。
みんなに、なにも持っていない王様として笑われるのですが……。

 

自分のやりたいことをして過ごす、その幸せ

自分のやりたいことだけをして過ごす。
誰もがあこがれるけど、なかなかそんな暮らしは難しい。やりたいことをするためには、いろんなものを捨てないといけない。いざやりたいことだけをしてすごそうと思ったら、なかなかに勇気がいる。
捨てたいと思っていても、なかなか捨てられないものが思った以上にたくさんあるのだ。そうそう、しがらみだってあるし……とかそんなことを思っているうちは、自分のやりたいことだけをしてすごす生活なんて手に入らなさそうだ。

くまの王様は、自分の好きなことができないという理由で、お城を飛び出す。そして、古い建物の三階の小さな部屋に住むのだ。文字どおり、彼は自分の好きなことをしたいという理由で、自分の持っていたものを捨ててしまったのだ。

一人暮らしを満喫する王様。
途中でお城の便利な暮らしが恋しくなるかといえばそうでもなく、彼は「自分で」なにもかもできる幸せを味わっている。
満ち足りた彼の生活は、ささやかな幸せを絵にしたかのよう。

でも、自由には責任もついてまわるわけで……とあら探しするように思ってしまうのは、おとなになってしまったからだろうか。
あまりに、彼が生き生きしているので。

でも、その反面、自分のしたいようにするというのは、そう難しいことではないのではないかとも思う。自分にあれこれいいわけをしたり、自分が勝手にしがらみに思っている事柄が多すぎるだけで、本当はすごくシンプルなことなのではないか。

彼は周囲に笑われても、気にしない。むしろ自分は好きなことをして過ごしていると胸を張って周りに答えている。堂々としたその姿、潔し。かっこいい。

最後に彼は、本当に大切なものに囲まれて、自分のしたいことを過ごす生活を謳歌して終わる。

なんだか、その姿は、うらやましくもあり、理想的すぎるとも受け取れてしまうのは、私がいろんなものに縛られてしまったおとなだからだろうか。こんなに簡単にいかないよね、なんて嘆いている。

 

テーマを考えると対象は……?

文章量とお話の展開に関してだけ言えば、幼児、低学年向けだが、テーマを見ると、子ども向けにしてはあまり共感を得られそうにない。むしろ、おとなが読む絵本のような気がする。

自由に振る舞うことの楽しさを描いた絵本だが、自由に振る舞うことで出てくる考えなければならない事柄についてはわりと周囲に丸投げ状態なので、生き方のヒントにはなりにくそうだ。
くまの王様の潔さがヒントになる人もいるかもしれない。

あれこれ難しいことを考えないで、お城を飛び出そうよ、という。