あらすじ
小さなたまごから孵った、小さな青虫。
青虫ははらぺこでした。
もりもりいろんなものを食べる、青虫。
そしてまるまると太った青虫は、やがてさなぎになり……。
何の説明もいらないほどに
もはやなんの説明もいらないぐらい、有名な絵本である。
その鮮やかな色彩がなによりもまず目を引く。
単色ではない、濃淡のついた色で描かれる、いろいろなもの。
色彩の豊かさは、なによりも雄弁で、見ているものの目を引きつけてやまない。
改めて読んでみれば、話の内容はそこまで複雑なものではない。
一匹生まれた青虫が、さまざまなものを食べて、さなぎになり、蝶になるといっただけの話だ。
しかし、この絵本の鮮やかな色彩と、適度に仕掛けられた穴あきのページが、この絵本の魅力をぐっと引き立てているように思える。
小さなたまごから孵った青虫。
青虫はおなかがぺこぺこだ。
食べ物を求めて移動し、食べ物にありつく。
月曜日はりんごひとつ。
火曜日はなしをふたつ。
水曜日はすももをみっつ。
木曜日はいちごをよっつ。
金曜日はオレンジをいつつ。
曜日と、増えていく数が、興味を引きつけてくる。
食べた果物に青虫の食べた跡として、穴が開けられているのがおもしろい。
そして土曜日で、奇想天外な展開をする。
青虫は、それはもういろんな食べ物を食べてしまうのである。ここで、子どもたちはびっくりすると同時に、青虫のおなかの調子を心配するだろう。どう考えたって食べ過ぎだ。現に、青虫はおなかが痛くなって顔色が悪い。
そして日曜日、青虫は回復して、本来の食べ物である青青とした葉っぱを食べる。
大げさすぎるほどのスケールで太った青虫を紙面いっぱいに描き、それからさなぎへと変化していくさまを表現する。その紙面の説得力に目は引きつけられ、次の展開にわくわくした気持ちを抱かせてくれるだろう。
さなぎになった青虫は、立派な美しい蝶となった。
期待に反しない、見開き二ページにまたがっての、大きな蝶の絵である。羽の色は色鮮やか、堂々たる姿だ。
ちっぽけだった青虫の頃から見てきた読者にとって、この堂々たる姿でのフィナーレは満足のいくものだろう。
ある子は誇らしい気持ちになり、ある子は感動し、ある子は蝶の羽の色鮮やかさに目を奪われることだろう。
そこには、青虫の成長を描いただけの本とは言えない、すばらしい魅力が詰まっている。
文章はシンプルに、少なく
文章はシンプルで少ない。
鮮やかな色は目を引きつける。読み聞かせにも向いているだろう。
幼児向け。