あらすじ
一年二組に、サムソンという転校生がやってきた。
彼は、慣れない日本語で挨拶と自己紹介をした。
転校生の登場に、教室内は大盛り上がり。
それをおもしろくないというふうにみている男子グループがいた。
そのグループにいたせいじくんは、まどかちゃんがサムソンに夢中なことに気づいてショックを受ける。
昼休みもサムソンを囲んで盛り上がっている。
せいじくんがまどかちゃんに声をかけても、なんだか素っ気ない。
そんな対応に衝撃を受けたせいじくんは、胸の苦しさを訴え、保健室へ行く……。
挨拶でつなぐ人の輪
一年二組に、転校生がやってきた。外国からやってきた、サムソンである。
サムソンは、慣れない日本語で、挨拶をし、自己紹介した。
転校生に盛り上がる教室内。サムソンはあっと言う間に人気者に……。
おもしろくないのが番長を含む数人の男子グループだ。
特に、せいじくんは、まどかちゃんがサムソンに夢中なのをみて、危機感を覚える。
まどかちゃんを取り戻す!と心に決めるせいじくん……だが、最初からまどかちゃんの心はせいじくんにあったのかどうかは謎である。おそらくまどかちゃんの心は、別にせいじくんにあったわけではなさそうな気がする。
お昼休みにもなると、サムソンの周りは女子だらけだ。
せいじくんは負けじとまどかちゃんを遊びに誘うが、まどかちゃんの心と関心はサムソンに向けられていて、せいじくんは全く相手にしてくれない。
あまりの衝撃に倒れてしまうせいじくん。
この絵本、いちいち行動が大げさで笑えてくる。本人たちにとっては笑い事ではないのだろうが。
男子グループにより、保健室に運び込まれたせいじくん。もちろんどうってことはない。
体は健康だ。心はずたずただが……。
保健室の先生に事情を話す男子グループ。
サムソンが転校してきて、ちょっと挨拶しただけで人気者になったこと……。まどかちゃんが冷たいこと……。
それを聞いた保健室の先生は、どうしてサムソンが人気者になったのか考えてみたら、と提案する。
せいじくんはサムソンが転校してからのことを思い返し、いいアイディアを思いつく。
そのアイディアとは……!
あいさつ団を結成し、挨拶運動をすること……!
大太鼓やラッパなどを持ち出して、大騒ぎしながらの挨拶運動!
せいじくん、いったい君になにがあったんだ……!
あまりにうるさい挨拶運動のため、みんなにいやがられるあいさつ団。
まどかちゃんも迷惑そうである。
しかしそんな機微もわからないあいさつ団のせいじくんは、サムソンの挨拶よりずっといいでしょ!?と迫る始末。
サムソンの挨拶が、サムソンを人気者にしたと結論を出したようである。
サムソンは「こんなつもりじゃなかった、みんなと仲良くしたかった」とダッと駆け出す。その上、まどかちゃんも派手に転んでしまった。
あいさつ団、めっちゃくちゃである……。
まどかちゃんを保健室につれていったあいさつ団。
保健室の先生もあきれ顔。
「先生、ぼくたち…。サムソンより もっと すごいあいさつをしたら、ぼくたちも 人気者になれると 思ったんだ…」
うーん、そうかなー……
サムソンの周りが女の子だらけという時点で、挨拶以外の何か……たとえばかっこいいからとかそういう理由もからんでいるようなきがするんだけどなー……。
だが、保健室の先生は、あいさつ団のいうことを受けて、大切な話をしてくれる。
挨拶は人と人とが仲良くなるための第一歩。あいさつには、心がこもっていることが大切。サムソンは、慣れない日本語で、一生懸命挨拶したから、その気持ちが伝わって人気者になったのよ。
話を聞いて反省するあいさつ団。
自分たちのあいさつ運動がぜんぜん違ったものだったことに気づいたのだ。ただみんなと仲良くなりたかっただけだけど……。
それを聞いていたのが、隣のベッドで休んでいたサムソン。
サムソンもまた、みんなと仲良くしたかっただけなのだという。
心が通じあったサムソンとあいさつ団。
あいさつ団はサムソンを団に誘い、仲直りした。
挨拶は、友達になるための第一歩。
だから心をこめて挨拶することが大事なんだ。
……っていう終わり方なんだけど、サムソンが女の子にモテモテなのはやっぱり……。
シリーズ物なせいか
シリーズ物なせいか、登場人物の説明が少なく、これだけ読むとはじめは混乱する。番長というあだ名の子がいるが、番長は主人公ではなく、せいじくんが主人公。番長の字面に主人公と勘違いしそうになる。
絵、話ともに勢いがあっておもしろい。
幼児、低学年向け。