あらすじ
明日は遠足。
なおくんは楽しみなことがひとつあました。それは、お弁当。
なおくんのお母さんは、いつもお弁当を作るとき、腕を振るって、キャラクター弁当を作ってくれるのです。
なおくんの友達もみんなそれは知っていて、なおくんのお弁当がどんなお弁当か楽しみにしています。
学校から帰ってきたなおくん。
お母さんの様子が変です。具合が悪そうです。
お父さんは出張で夜も帰ってこないし、どうしよう。
お母さんは大丈夫というけれど、とても大丈夫そうに見えません。
明日になったら、お母さんはふらふらしながらも、お弁当を作ってくれるでしょう。でも、そんなことより、お母さんには元気になってほしい……。
そこで、なおくんは考えました。
そうだ、お弁当を……。
満点弁当! なにが満点なの?
主人公の男の子の気持ちがストレートに伝わってきて、そのけなげさに感じ入った作品だった。
主人公の男の子であるなおくん。明日は遠足で、楽しみなことがひとつあった。それはお弁当だ。
なおくんのお母さんは、いつもお弁当に力を入れてくれる。いわゆるキャラ弁を作ってくれるのだ。
それはなおくんの周りでも恒例になっていて、みんながなおくんの弁当を楽しみにしていた。
今回も楽しみにしていたのだが……
学校から帰ると、お母さんは具合が悪くて横になっていた。
風邪をひいたのか、熱があるようだ。お母さんは、大丈夫とうけあうも、ぜんぜん大丈夫そうじゃない。
しかもお父さんは出張で今日の夜は帰ってこないし……。
なおくんは思う。
お弁当は楽しみだけど、ふらふらなお母さんに作ってもらうより、お母さんには元気になってもらいたい。
そうだ、自分でお弁当を作ればいいのでは? でも、自分は料理ができない。……そうだ!
なおくんが思いついたこと──それは、朝早くにコンビニに行って、お弁当を買ってくること!
子どもながらに必死に考えた結果だろう。お弁当さえあれば、お母さんがお弁当を作らなくてもすむのだ。
かくして、朝早く起きたなおくんは、こっそり、コンビニにお弁当を買いに行く。
そのときの様子も、買い物に不慣れな上、一人で来たということに緊張しているさまが表現されていて、物語に引き込まれていく。でも、案外、周りの目は暖かく、なおくんは無事お弁当を買って帰ることができた。
さて、家に帰ると、なんとお父さんが帰ってきていた。
朝早くに、一人で黙って出かけたことに怒られるなおくん。
だが、お父さんはなおくんの出かけた理由を聞いて、その気持ちを肯定してくれる。
やったことはだめなことだ。そこはしかるけれど、やった理由は認めてあげる。子どもの自己肯定感や、自尊心を認めてあげる、とてもいいしかり方だと思う。しかし子どもがいなくなったのだ。現実では、取り乱して、つい、頭ごなしにしかりつけてしまうかもしれない。なおくんのお父さんはかなり冷静である。
そして、買ったお弁当を持っていかせるお父さん。
おそらく、お母さんはお弁当を作ってくれていたのだろうが、あえて、コンビニ弁当を持っていかせる意味。
これは、なおが おかあさんを おもう きもちが
いっぱい つまった、せかいいちの、やさしさ まんてんべんとうや
一人で黙って出かけたことはいけないことだけど、なおくんの気持ちはすばらしい。満点だ。お父さんはそう言ってくれている。
なおくんにも、そのお父さんの気持ちが伝わった。
なおくんは、コンビニ弁当をもって、こう言うのだ。
これは、ぼくの まんてんべんとうや!
なおくんは胸を張って、コンビニ弁当を持っていく。
遠足のとき、なおくんのキャラ弁をみようと集まってきた友達にも、なおくんは堂々とコンビニ弁当である理由を説明する。そこには、怒られて恥ずかしいとか、やってしまったとかそんな屈折した感情はない。これはお母さんを思いやった気持ちがつまった弁当。満点弁当だ。キャラ弁じゃなくたって、誰にも恥じることはない。
堂々としているなおくんに、周りのみんなも支持してくれる。
これはなおくんの気持ちがつまった、特別な弁当なんだ。
なおくんの優しい気持ち、大切にしていきたい。
そういった意味では、なおくんは満点な男の子だ。きっと、その気持ちの大切さを知っただろう。
おとなの私たちは、なおくんの行動にばかり目を向けず、その優しい気持ちにも目を向けられるようになっていきたいものだ。しかる部分とほめる部分。それを考えていけるのが、理想だろう。
文章の量は多め
文章の量はやや多め。一度に読み聞かせるのはちょっと大変かも。集中力と相談。
おとな向けとしては感じ入るものがあったが、子どもにとってはどう思うだろう。ちょっとわからない。
低学年向け。