あらすじ
あるところに、三匹の子豚がいました。
彼らは家をでて、それぞれに自分の家を作りました。
一匹は藁の家。
一匹は木の枝で作った家。
一匹は煉瓦で作った家……。
藁の家にオオカミがやってきて、中に入れてくれと言いましたが、子豚は断ります。
すると、オオカミは息を吹きかけて、藁の家を吹き飛ばしいてしまいました。中にいた子豚は……
なんと、物語の外に逃げ出して、助かっていたのです!
物語の外側……そこは何とも不思議で、おもしろい空間が広がっていたのでした。
メタ要素がおもしろい
タイトルから察せられるように、「三匹のこぶた」のパロディ作品である。
三匹のこぶたを知っていないと、ちょっと面白味が半減するもしれないのだが、メタ要素がおもしろい一冊だった。
最初は三匹のこぶたが、家を出て、それぞれに藁の家、木の枝で作った家、煉瓦で作った家と作る。オオカミがやってきて、藁の家と木の枝の家は吹き飛ばされてしまうのだが、なんと、そこにすんでいた子豚は、物語の「外側」に逃げて、助かるのである。
物語の外側に逃げた三匹の子豚。
そこは、いろんな物語が展開している「外側」の世界だった。
物語のページで紙飛行機を作ったり、ほかの物語に入り込んだりして、遊ぶ子豚たち。
ほかの物語に入ると、物語ごとの絵のタッチに変わってしまうのがおもしろい。
ほかの物語に、同作者の作品が使われているのもおもしろい。
ほかの物語から、金のバラを守るドラゴンと、バイオリンを弾く猫をつれてきた子豚たち。
あれこれ楽しく遊んだあと、そろそろ自分の物語に帰るか、と適当な場面を選んで物語に戻る。
でも、それは「三匹の子豚」のエンディングではなかった。
なんと彼らは、ほかの物語からつれてきたドラゴンと、ねこを入れた五匹で仲良く暮らしたというハッピーエンドに置き換えてしまうのだった。
文章で表現するのが難しい、メタ要素を盛り込んだ一冊。
物語の「外側」の表現がおもしろい世界観だ。内容は難しくはないのだが、この独特な世界観を理解するには、本に慣れ親しんでからが最適かもしれない。
絵はリアルタッチで、とても迫力がある。必要に応じて、絵のタッチが変わるところがおもしろい。
物語と慣れ親しんでから
話の内容を理解して楽しむには、ある程度、物語に慣れ親しんでいないと難しいだろう。
低学年からが対象か。
文章自体は、多くもなく少なくもなく。