あらすじ
アーサーはテレビを見ていたのに、お母さんにもう遅いから寝なさい、と言われてしまう。
怒るアーサー。
アーサーの怒りは次第に強くなっていき、天変地異を引き起こした……!
なんと、地球をも粉々にしてしまうのである……!
奇想天外な展開で怒りを表現した一冊。
怒りを表現した一冊
仏頂面で腕を組んでいる男の子。
もう顔からして、怒っているのが伝わってくる。寒色が多めの絵柄に、男の子の不機嫌さが表現されている。
プンプン。
この子はどうして怒っているのだろう。
それは絵本の最初のほうですぐに判明する。
テレビを見ていたのに、もう寝なさいと言われたからだ。
不機嫌になった男の子、アーサー。
アーサーの怒りはおさまらない。
お母さんは、「おこりたければ おこりなさい」と言ったので、アーサーは怒りを爆発させた。
アーサーの怒りはすごい。
かみなりがなって、稲妻が走り、雹が降る。
お母さんが、もうじゅうぶん、といっても、アーサーの怒りはおさまらない。
アーサーの怒りは天変地異を巻き起こし、そのたびに「もうじゅうぶん」という言葉掛けをもらえるのだが、アーサーの怒りはまだまだ収まらない。
怒りはついに宇宙まで達し、地球は砕け、えらいことになるのである。
現実的に考えれば、怒りで宇宙がどうにかなるわけではない。
怒りの抽象的なイメージが見事に描き出されているのである。
火星のかけら、ベッドに入ってアーサーは考える。
なんでこんなに怒ってたんだっけ?
途中から、テレビのためにそこまで……と思っていたが、怒りっていうのは一人歩きするもんである。怒るだけ怒ったら、はてそんなに怒るようなことだったかな……ということもある。
これは怒りという感情をうまく表現した一冊だと思う。
怒りを表現した一冊
文章の量も適度で、イラストも迫力がある。
はて怒りはどこへ……といった終わり方も、あとに引きずらなくていい結末だと思う。
幼児、低学年向け。