ユニークな絵本の見方を体験する
みんなが気にしていないこと、気がついていないこと……
この絵本は気づかせてくれる。
それがまた空とぼけていて、おかしくもあり、夢があってすてきでもある。
絵がメインのこの絵本は、一行の文章によって、絵の見方を変えてくれる。
たとえば、広々とした公園の図があり、文章がこう添えられている。
むかし おじいさんが「ひろびろとしたところは はじっこがあぶない」と言っていたけれど、このことかな。うん はじっこはあまり行かないから、みんなよく知らないものね。
「このこと」?
そしてよく絵を見てみると、絵の右端に、めくれかけているような絵が描かれているではないか。端のほうに行くと危ない、なるほど、といったところである。
そんなふうに、一文で、絵のある部分に注目させてしまうのがおもしろい。
一貫してそんな感じの絵と文が収録されており、面白味を感じるとともに、大きめに絵の部分をとられているので、ある意味で画集のようにも感じられる。
添えられた一文はおもしろいのだが、ひねくれていたり、空とぼけていたりするので、幼児にはちょっと理解が難しいものがあるかも。
絵の情報と、文の情報を理解して、なるほどとと感心するような感じである。
絵は、五味氏らしい和むユニークな絵柄。
見開き二ページごとに場面は切り替わっていくので、ストーリーもほとんど存在しない。
ちょっとだけ理解力が必要になってくる絵本
ユニークな絵本だが、ちょっとした理解力が必要になってくる内容である。
低学年向け。一人読みのほうが適しているような気がする。読み聞かせには不向きだろう。