あらすじ
チョコだるまは、マルタさんのチョコレート屋さんにおかれている大きな雪だるまのチョコレート。
チョコだるまは、店に来るお客さんの話を聞くのが好きだった。
しかし、あるとき、お金持ちがチョコだるまを買い取り、箱につめて屋敷に持って帰り……。
人の心を持ったチョコだるまの気持ちのうごきが繊細に描写された一冊。心がほっとあたたかくなる。
チョコだるまの繊細な心の動きを描いた作品
チョコだるまという、チョコレートでできたデカい雪だるまが主人公のお話。
その大きさは相当デカく、子どもの背丈分ぐらいあるようだ。
このチョコだるま、チョコレート屋さんのマルタさんが作ったもので、いつもはチョコレート屋さんに飾られているようだ。ショーウィンドーのディスプレイ用、といったところだろうか。
お話は、このチョコだるま視点から語られていく。
彼は、お店にくるお客さんを見て、いろいろとものを思う。まるで人間のような心を持ったチョコだるまなのだ。
お店にやってくる、幸せそうなカップル。
喧嘩していた親子づれ。
一人で寡黙にホットチョコレートを飲むおじいさん……。
お店で過ごしているチョコだるまにとって、日常はお客さんの思い出でいっぱいだ。
しかし……
あるとき、お金持ちがやってきて、チョコだるまは買われてしまう。
箱につめられ、お屋敷へ……。
お店での日常を愛していたチョコだるまは、自分の身に起きたことを嘆き悲しんだ。
もうあの店には帰れないんだと思うと、涙がでてきそうだった。
お屋敷について、箱を開けたとたん、お金持ちは、怒りだした。
そして、チョコだるまを返品したのである。
お店のマルタさんは、手放したことに後悔していて、チョコだるまが戻ってきたことを喜んだ。
運良くお店に戻れたけどどうして?
そう、チョコだるまの目のチョコが溶けだして、泣いているようになっていたからだった。
人の心を持った、チョコだるま。
涙でぐちゃぐちゃになったところをマルタさんになおしてもらって、ふたたび、お店におかれることに。
お客さんの子どもたちも、チョコだるまの帰りを歓迎してくれる。
チョコだるまの居場所は、マルタさんのチョコレート屋さんなのだ。
チョコだるまの素直さがかわいらしく、それが物語全体をかわいらしいものにしている。
チョコだるまの心のうごきが繊細に描かれている作品である。絵本だが、読みごたえがある。話を楽しむ絵本である。
文章の量はやや多めだが
文章の量はやや多めだが、話の内容的にちょうどいい。
ただ読み聞かせとなると、思ったより時間をとられるだろう。
幼児、低学年向け。