あらすじ
おばあちゃんと遊んでいたまゆは、不思議なものを見つける。
てんさらばさら。それの名前はそういう名前をしていた。
誰にも見せずに、おしろいをあげていれば、てんさらばさらは増え、いいことを呼んでくれるという。
まゆはそれ以来、てんさらばさらを大切に世話してきた。
そのたび、まゆには幸運が訪れ……。
不思議なものが降ってきた
浜辺で、おばあちゃんと追いかけっこをしていたまゆ。
追いかけっこをやめて、まゆはおばあちゃんに歌を歌ってとせがむ。
するとおばあちゃんはこんな歌を歌うのだった……
ゆきふってこい
てんさらばさら てんさらばさら
かぜにまってこい
おしろいたべて ゆきよんでこい
そのとき、雪がひとつぶ降ってきた……と思ったら、どうも雪ではないようだ。
なんとそれは、世にも珍しい、「てんさらばさら」だった。
このてんさらばさら、おしろいをあげていると増えるという。そのたびにいいことが訪れるという不思議なものなのだが、人に見せてはいけないとのことだった。
まゆは、このてんさらばさらを持ち帰り、おしろいをあげて秘密の場所にしまっておいた。
てんさらばさらは増えた。
そのたびに、まゆにはいいことが起きた。
てんさらばさらのおかげだ、とまゆは思った。
そしてまゆは、嫁に行った先でも、てんさらばさらにおしろいの粉をあげ、増やし続けていった。
子どもに恵まれ、幸せな生活をおくっていたまゆだったが、増えまくったてんさらばさらをしまっておく場所がなくなった。
まゆは大きな袋を縫って、そのなかにてんさらばさらを入れて、どこかに持っていこうとした。
しかし、子どもや夫がその様子に気づいて、まゆを追いかけてきた。
なになになにしてるのー?といった感じである。
まゆも事情を説明すればよかったのに、なぜか黙って逃げ続けるので、まわりの興味を引いて仕方ない。
そして、追いかけられたまゆは、うっかりと袋からてんさらばさらを出してしまうのだ。
大量のてんさらばさら……まるで雪のように舞い、飛び去っていく。
まゆから事情を聞いた夫は、てんさらばさらがなくたって幸せになれる、と言い切る。
まゆも、てんさらばさらがなくなったことで、これからは自分の力でやってみようという勇気がわいてきた、と言った。
これからもまゆは幸せに生きていくのだろう、と思わせる結末だった。
不思議なもの、てんさらばさら。生き物かどうかすらもわからない。ケセランパサランに似ている。
まゆはより所を失ってしまったが、それでも大丈夫なほどに人生を築いていた。それはてんさらばさらのおかげではなく、まゆの力によるものではないだろうか。だからこそ、てんさらばさらを失っても、惜しい気持ちにならなかったのだろう。なぜなら、今が幸せだから。これからも幸せに生きる自信があるから。
そんなまゆの人生が、私は少しうらやましい。
てんさらばさらが直接何かをしたという表現はない。
もしかしたら、今までの幸運も、まゆ自身の幸運だったのかもしれない。
不思議なてんさらばさら
日本昔話ふうの絵本。
文章量はふつう。
てんさらばさらが活躍するわけでもなく、幸せな人生とは、というちょっとおとなびた話の展開をしていく。
低学年向け。