あらすじ
女の子がアイスクリームを食べながら、犬の散歩をしています。
赤いボールがあったので、それを投げてやると、犬は嬉しそうに走ってとってきました。
女の子はもう一度、ボールを投げました。
今度はさっきよりも遠くに。
すると……。
躍動感あふれるイラストとともに……
文字がいっさいない、絵だけの絵本である。
リアル寄りの絵でつづられる物語は、シンプルでシリアスに思わせつつ、実のところトンデモ展開の絵本だった。このギャップ、ずるい。
アイスクリームをなめながら、犬の散歩をしていた女の子。
赤いボールを見つけて、何気なく放る。
犬は嬉しそうに駆けて、取りに行く。
よし、じゃあ、今度はもっと遠くに投げるからね、と言ったかどうかはしらないが、とにかく女の子は先ほどより遠くにボール投げてしまったようだ。
犬は嬉しそうに駆けてボールを取りに行く。
・・・・・
あれっ?
帰ってくるの遅くない?
え? え? ちょっと待って。え、うわあー……。
なんてことばが聞こえてくるような、女の子の表情の変化が見られる。
女の子は右を向いたまま、とにかく本の右側に広がる場面を見ているのだが、なにやらとんでもないことが起きたらしいことが伝わってくる。
本を読んでいる私たちには本の外側に起きたことが見えないから、女の子がなぜそんな顔をしているのかわからずもどかしくなってくる。
なになに、いったい何か起きているの??
犬がボールを取りに行ってるんじゃないの?
本の外側ではえらいことが起きていた。
ボールをくわえて戻ってきた犬……のリードに絡まってついてきた乳母車……を必死につかんでいる女の人……の足が絡まった郵便屋さんの自転車……の車に絡まった凧の糸……がからまった三脚の梯子……に絡まった洗濯物のひも……
…………
だんだん絡まってくるもののスケールがでかくなっていき、ついには象や車、観覧車までもが絡まって登場してくる。
えらいことになってしまった……
どうする、女の子……
女の子は……
知らんぷりをキメた。
まじめそうなイラストでまじめそうなお話が始まると見せかけて、その内容はハチャメチャ。
文章のない絵本でもおもしろい絵本だと思う。ワハハハ。
文章がないので
文章がないので、読み聞かせには不向き。
でも文章がないので誰でも楽しめる。
おもしろいので一度読んでみて。