ねこに関する詩がふたつ
「大魔術師ミストフェリーズ」、「マンゴとランプルの悪ガキコンビ」の二つの詩が収録された絵本。
そう、この本は詩にカラーのイラストがついた絵本である。
繊細で細かく書き込まれた背景や絨毯の柄、丁寧な筆致。
描かれる猫は生き生きとしていて、かわいいというだけではない。ふてぶてしさや、なぞめいたところもあますところなく書き込まれている。
大魔術師ミストフェリーズでは、彼の偉大なる姿がおしゃれに、ちょっと気取って描かれている。
ねことは、元々、ミステリアスな生き物だったなあと思い起こされる詩だ。見かけないなと思っていたら、柱のかげからこちらを見ていたとか、どうやってのぼったのかわからないほど高いところにいたりとか。
そんなねこなのに、ミストフェリーズはさらに不思議なねこなのだという。
そんなねこだったら、魅了される人が続出してもしかたないな。
本文は詩なので、何かが起きて、ミストフェリーズが大活躍するといった流れはない。
不思議な奇術師ミストフェリーズの偉大さをたたえるかのような内容が強め。
すてきなイラストと併せて、ミストフェリーズのミステリアスな魅力に酔いしれたいところ。
「マンゴとランプルの悪ガキコンビ」では、いろんな街でやりたい放題し放題の悪ガキコンビのねこが出てくる。
彼らは、いろんなものを盗ったり、いろんなもののにいたずらしたりして人々を困らせる。この詩を書いた詩人はねこ好きだったのだろう。いかにもあるあるネタでちょっとクスッと笑えてしまう。
イラストの中では、ふてぶてしく、たくましい二匹の悪ガキねこが、生き生きと描かれている。きっと、イラストを書いた画家もねこが好きなのだろう。
ねこへの愛がひしひしと伝わってくる一冊である。
詩なので物語を読むつもりだとちょっと違う…となる
詩なので、物語を読むのとはちょっと違う……となるだろう。
物語的な展開はないものの、ねこ好きならふふっとなる展開がたくさんだ。
中学年からが対象だろう。読み聞かせにはあまり向いていない。