あらすじ
いずみがもりは、カラスの町。
そこにはカラスのパン屋さんがありました。
カラスのパンやさんには、四羽の赤ちゃんが生まれました。
パン屋と子育ての両立はとても大変。
生焼けパンや焦げたパンができてしまったり、お店の掃除も満足にできない日もありました。そのせいで、お客さんはだんだんと減っていってしまい、貧乏になってしまったのです。
それでも子どもたちはすくすくと育ち、パン屋さんは多忙を極めました。
子どもたちのおやつは、失敗したパンでした。
ある日、子どもたちの友達のカラスが、子どもたちがおやつに食べているパンに興味を持ちました。味見をさせてもらうと、そのパンのなんとおいしいこと。
友達たちは、明日買いに行くよと行って約束しました。
子どもたちは、友達が明日、パンを買いにくることを両親に話しました。
両親は、はりきってパンを作りましたが……。
カラスのパン屋さんが有名になったわけ
可愛らしいカラス一家。
パン屋さんをしているけれど、子どもが生まれて両親はてんてこまい。お店の売り上げにも響くようになってしまう。
共働きで子育ての大変さはカラスも人間も変わらないようで、何とも切なくなる一シーンである。
子育てに追われ、パンを焼いても失敗することが多くなってしまったカラスのパン屋さん。お客さんの足も遠のいて……。なんだか生々しい展開だが、子どものカラスはすくすく大きくなったのはほっと安心だ。
彼らのおやつには、焼くのを失敗したパン。それに興味を持った友達は、試しに食べてみて、そのおいしさに驚く。明日、いっぱい買いに行くといって去っていく。
子どもたちは、明日みんなが買いにくるということを両親に伝える。それを聞いた両親は、はりきってパンを作ることに。
子どものいうことを丸飲みしているけど、口だけの場合だったらどうするのだろう……とちょっと不安がよぎる。
そんなおとなのせこい見方をよそに、次の日、友達たちは本当にパンを買いに来た。たくさん売れて、店は大繁盛。その上、お店の改善点もずけずけと指摘されて、カラス一家は改めることにしたのであった。
そして、カラス一家はみんなで、いっぱいパンを作る。
そのページ、この本一番の見せ所だろう。
本当にさまざまなパンがところせましと描かれているのだ。
きのこパン、ペンギンパン、おまめパン、かびんパン、とんぼパン……
形状さまざまなパン。どんな味がするのだろうというものがいっぱい。
いろんな種類といっても、形状にバリエーションがあるよということらしい。
おいしそうなパンの焼けるいいにおいに、カラスの子どもたちはまだ世もあけやらぬうちに、パン屋めがけて飛んでいく。その騒ぎはだんだん大騒ぎになっていき、いろんな立場の人がなんだなんだとみんなパン屋さんめがけて飛んでいく。
このカラスの大群、生き生きと描かれていて圧巻。一匹としておなじ顔をしているカラスはいない。
そうして、カラスのパン屋さんは大大大繁盛。
森一帯に名が知られるほど有名になったのだとか。
それにしても、パンの種類の多いこと、びっくりすると同時に食べてみたくなる。この絵本を読んだ人は、絶対に必ずそのページで手を止めることだろう。
選べる楽しみって、いいよね。私は「とんかちパン」を食べたい。
パンがおいしそう
おいしそうに描かれるパンはもとより、表情豊かなカラスたちも見ていて楽しい。
文章の量がちょっと多いが、幼児、低学年向けだろう。読み聞かせ映えもしそう。