あらすじ
五平は死んでしまった。
気がつくと薄ら暗いところにおり、三途の川をわたらなければならなかった。
そう、これから閻魔王に会いに行くのだ。
閻魔王は、五平の生前の悪行を見て、針地獄に落とされることとなった……。
阿鼻叫喚、地獄絵図。
救いのない地獄が容赦なく描かれる、衝撃作。
残酷で衝撃的な内容
衝撃的な内容である。
流血、内蔵、切断……グロというグロがあふれている。
地獄のむごさ、恐ろしさを描いたまさに地獄絵図。
主人公の男、五平は、ひょんなことから死んでしまい、地獄の閻魔王に会いに行く。おどろおどろしい三途の川を渡り、奪衣婆に着物を引きはがされ……。希望すらない、絶望の始まりである。
閻魔王と対面した五平。
生前の悪行をかんがえみ、針地獄に落とすことを言い渡されるが、そこにおじぞうさまが現れ、五平の善行をのべ、こう言う。
「えんま王よ、五平をもう一ど、もとの世にもどしてやっては、
くれませんか? こんどはきっと、よいおこないをつむでしょう」
閻魔王はおじぞうさまの言葉を聞き入れ、その代わりに二度と悪いことしないよう、地獄を見て行け、となるのである。
実際、話自体はさほど重要ではなく、悪いことをしたら地獄に落ちる、地獄はこんなに恐ろしいところだということがテーマの絵本である。そのための残酷絵であろう。
この残酷さは絵本にしては異彩を放っている。
ごまかすことなく、すべてを見せている感じだ。首を切られる亡者、切り刻まれる亡者……容赦なく亡者たちを残虐に殺していく鬼。おとなでも顔をしかめるような内容となっている。
あらん限りの残酷さを詰め込んだ感じの『地獄』。
悪いことをした報いとはいえど、この残酷な絵は思わず目を背けるほどである。
この残酷な一冊、子どもに見せるかどうか、おとなにゆだねられている。
メインは地獄絵
残酷な場面が山盛りのこの絵本。おとなによっては嫌悪感を持つ方も多いはずである。
テーマは一貫して、悪いことをすれば地獄に堕ちるとされており、残酷さを助長するような内容ではないのだが、残酷な絵のインパクトが強すぎて、話がかすみがちではある。
この本ばかりは、おとなが一読してから子どもに読ませるかどうか考えた方がいい。
文章量はふつう。だが内容的には中学年からだろうか。低学年でも読めるだろうが、文章がちょっと難しいかもしれない。