あらすじ
消防自動車のじぷたは、ジープを改造した消防車。
ほかの消防車たちと比べて小さいので、みんなの活躍に隠れ気味。町の子どもたちも、じぷたのことは気にもとめていません。
じぷたもほかの消防車たちに比べて、ふるわない自分がなんだかみじめで悲しくなっていました。
そんなある日……。
行け! 消防自動車、じぷた!
消防自動車の「じぷた」が主人公の絵本。
しかし、じぷたはジープを改造した消防自動車で、ほかのはしご車や高圧車、救急車のように、普段の有事のときはなかなか出番がない。
ほかの車たちの立派さや、大きさに、じぷたはかすみ気味。
町の子どもたちも、じぷたに対してあまり関心を払わない。彼らの関心はもっぱら、ほかのはしご車や救急車、高圧車のほうばかり……。
だけどじぷたは働き者。
一生懸命、サイレンを鳴らして、消火活動。
そんな一生懸命さも、ほかの消防車たちは小馬鹿にし気味。
なんだか、じぷたがかわいそうになってくる。
じぷたもそんな環境に置かれて、ほかの消防車をうらやましがるばかり……。
なんだか、じぶんが
とっても ちっぽけで、
みにくく おもわれて、
かなしくなりました。
しかしそのとき、ある山小屋の火事が、じぷたをヒーローにするのであった……!
前半から後半にかけてのこの盛り上がり。序盤のじぷたの境遇を知っている読者は、心からじぷたを応援するだろう。この展開、ドラマティックですらある。
小さいからこそ、活躍できる場があるということを知ったじぷた。
自分にしかできないことがある、自分には強みかあるということを知ったじぷた。
山小屋の火事を見事消し止めたじぷたに向けられる賞賛は、読者にも心地よく響く。そうだ、ちびっこじぷたでも活躍できるんだ!
この絵本を読んだ子どもたちは、こう思うだろう。
「やあ、じぷたがいるぞ! ちびっこでも、すごく せいのうが いいんだぞ!」
そして、子どもたちは、じぷたを誇らしく思うに違いない。
小さくても活躍するじぷたに、自分たちの姿を重ねて。
抑え気味の序盤から、中盤、そして終盤の盛り上がりは大興奮である。
消防車が好きな子ももちろんのこと、そうでない子も、物語がしっかりしているのでぐいぐいと物語に引き込まれていくだろう。
物語を楽しむのに最適な一冊。ぜひ読んでほしい。
車好きもそうでない子も
楽しい物語である。読了後、スカッとした爽快な気分になる。
文章量が多いので、読み聞かせには少し時間がかかりそうだ。
低学年向け。幼児には厳しい。