あらすじ
番長と呼ばれている子は、給食をろくに食べず、嫌いなものはみんな残せと周りにも言っていた。
そのため、番長のクラスは、みんなろくに給食を食べたことがなかった。みんな、嫌いなものをどんどん残すからだ。
それを悲しんだのは、給食のおばちゃんたち。
番長のクラスだけ、山盛りに残された給食が返ってくるのだ。
どうやら番長という子が率先して残しているということは、おばちゃんたちにもわかっていた。
給食のおばちゃんは、番長のクラス直接行って、給食をちゃんと食べなさいと注意したのだが、番長はぜんぜん反省した様子もなく、開き直って給食を残す始末……。
もうだめだ……と悲しんだ給食のおばちゃんたちがとった行動とは……。
給食の大切さをテンポよく、ノリよく教えてくれる
テンション高めな絵とともにテンポよく展開していく話が魅力の一冊。
このノリのいい絵、好きだ。
番長と呼ばれる男の子が、給食をろくに食べず、残してはさっさと遊びに行ってしまう。クラスでも影響力のある彼は、給食の嫌いなものは残せなどと言い、ほかの子分やクラスメートを扇動していた。
そのため、番長のいるクラスは入学してからずっと、ちゃんと給食を食べていなかったのである。
それに胸を痛めていたのは、給食のおばちゃんたち。
今日も残している……と悲しんでいた。
絵を見ると、もりもりいっぱいに残されていて、見ているこっちも切なくなってくる。
あまりに残す日が続くので、給食のおばちゃんたちは直接注意しに行く。しかし、番長は、こんな給食、全部食べてやるもんかという態度。
誰の手にも負えない状態だ。立派なやんちゃくれである。
誰のために毎日作ってくれてると思ってんだ!
栄養とか考えてくれてるんだぞ!
……という怒りを押さえながら読み進めていくと、給食のおばちゃんたちも負けてはいなかった。山盛り残されている給食。それを目にしながら、悲しむおばちゃんたちは、行動に出たのであった。
つくっても
のこすから
もう
つくりません。
おばちゃんたちは
いえでをします。
さがさないでください。
これはエラいことになった。
おばちゃんが職場放棄したため、今日の給食は抜きである。
残しはするものの、お昼ご飯はなくては困る。給食を残せと扇動していた番長は、一気にみんなに責められる立場に。番長のせいで給食がなくなった、おばちゃんたちが怒っている等々。小学校一年生の番長の影響力なんてこんなものであった。
焦る番長は、おばちゃんたちを探しだし謝った……ことはなく、なんと、開き直って、自分たちで給食を作り出すのだった! そんな無茶な!
何人かの子分たちを使って、給食を作る番長。
結構手際がいい。
そしてできあがった給食。見た目はとてもおいしそうだが……
まずかった。
みんなまずくて食べられない。一生懸命作ったものだろうがなんだろうが、まずくては食べていられない。
ショックを受ける番長と子分たち。
しかし、給食のおばちゃんがいなければ、明日もまた給食を作らねばならない……このへんは妙に責任感があってほほえましい。
泣き出しそうになりながら、鍋や食器を洗う番長たち。
このへんも律儀である。作ったら作りっぱなしかと思っていたが……。
半泣きで掃除をしている姿を見ながら、なんだか憎めない子たちだなと思う。
そこへ、颯爽と現れたのは、給食のおばちゃんたち。
おばちゃんたちは、おいしい給食になるように一生懸命作っていること、それを残されると悲しいこと、給食に入っているのはみんなが成長するのに大切な食べ物が入っていること、それなのに給食を残すのは心配だということを話してくれる。
番長たちはそれを理解し、おばちゃんたちに謝る。
ここの画面のテンションがノリがよすぎてちょっと笑ってしまうが、話は至って大切なことを語っている。
反省した番長たちは、それからというもの、ちゃんと給食を食べるようになったとか。
なくなってから初めて気づく、給食のおばちゃんの存在の大切さ……。
給食の大切さ……。
本書を読んだ子は、一度でいいので、考えてみてほしい。
給食のありがたさが伝わってくる……
給食のありがたさが伝わってくる一冊である。
ひいては食べ物の大切さも伝わってくる。
話の内容的に、低学年向けだろう。
ノリがよく、お笑い系かと思いきや、その内容は至ってまじめなものであった。