あらすじ
あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは、粘土をこねて、一人の男の子を作りました。
すると、不思議なことに、粘土でできた坊やが動き出したのです。
坊やをかわいがるおじいさんとおばあさんでしたが、坊やの食欲はすごく、食べ物をあげてもあげても、もっとちょうだいとねだるので困ってしまいました。
そして坊やは……。
本当は恐ろしいねんどぼうやの話
怖い。
何が怖いかって、リアルに描かれる「ねんどぼうや」が怖い。
元はロシアに伝わる民話のようだが、とにかくもう、登場する「ねんどぼうや」のビジュアルが怖い。
おじいさんとおばあさんが粘土作った子ども。
それが、なぜか動き出してしまう。
「わしらの子どもたちは おとなになって
みんな とおくにいっちまったが
あたらしい子どもが いれば
もう さびしくなくなるよ」
そんなことを言っていたおじいさんだから、ねんどぼうやが動き出したときには、よかったね、という感想すら持ったのだが、物語はとんでもない方向に転がっていくのだ。
このねんどぼうや、異常に食欲がある。
食べ物をあげても、「もっともっと」とねだるのだ。
おじいさんとおばあさんはいろんなものをねんどぼうやにあげるのだが、彼の食欲はつきるということがない。
そのうえ、食べれば食べるほど、ねんどぼうやは大きくなっていくのだ。
にわとり、あひる、ねこ、いぬをごくりと丸飲み。
それでも足りない。とうとうねんどぼうやは……とうとう おばあさんを がぶっ! ひとのみ。
それから おじいさんを ごっくん! ひとのみ。
超えてはならない一線を軽く超えてしまったよ……!?
そのころにはもう建物ぐらいに多くなったねんどぼうや。
ゴーストバスターズのマシュマロマンを彷彿とさせて怖い。
次から次へと出くわす人間たちを丸飲みにしていくねんどぼうや……
もうこれはモンスターである……。
人類はもう、為すすべがないのか……。
そこへ颯爽と現れたのは一匹のヤギ。
ヤギのおかげで、マシュマロマ……ねんどぼうやの暴走がとまり、丸飲みされた人々や生き物が戻ってきたのであった。
よかった、最後は救われる話で……。
最悪のバッドエンドを想像していただけに、結末は安心できるものでほっとした。
しかし、このねんどぼうや、恩も義理も感じないのだろうか。
作った人を飲み込んじゃったあたりでモンスターと化したよね……。
とにかくリアル
文章はやさしく、シンプルでとても読みやすい。
絵がとてもリアルでねんどぼうやが怖い。
最後は救われて終わるので一安心だが、リアルタッチで描かれるねんどぼうやは恐ろしい。
読み聞かせ映えしそう。
対象は幼児から低学年だろう。