妖怪、魔物、大集合
いわば、現代風、化け物絵巻。
絵本の始まりは列の最後尾、70番からはじまる。
並んでいるのは、古今東西、西洋出身のものも含めた、妖怪たちだ。まさに妖怪づくしである。
妖怪たちが並んでいるのを最後尾からみていくことになるのだが、妖怪のことだもの、行儀よく並んでいるはずがない。ミイラ男の包帯を引っ張ってみたり、あずきとぎと砂かけ婆がケンカをしたり、まあ眺めていて楽しいの何の。
マニアックな妖怪までもが総出演で、うれしくなってくる。
果たして、この行列はいったい、なにに続いているのだろう?
そんな興味もわきつつ、お行儀の悪い妖怪たちの行列に笑いながらページをめくっていくと、ついに行列の先頭に。
たどり着いたのは、キツネが営む、豪華なお宿の「まんげつどう」。
両ページ折り込みの見開きページを開けば、どーんと並んでいた妖怪たちが温泉で一風呂。極楽極楽とくつろいでいるではないか。なんてすてきな光景なのだろう!
温泉を楽しんだ後は、みんなで食事。大宴会だ。
輪になって座る妖怪たちが細かく書き込まれている。並んでいた約70種類の妖怪たちが大集合である。圧巻。
ちなみに並んでいるところから、「ろくろ首」や「ねこまた」などという名前が表示されているので、宴会で騒ぐ妖怪たちの名前は丸わかりだ。非常に抜かりない。すばらしい。
宴会のお開きは、朝日が昇ったら。
これも絵巻の終わり方に倣っているようでうれしい。
妖怪好きのかたマストの絵本。これはぜひ、読んで欲しい。
妖怪が好きな子、好奇心旺盛な子は、ページをめくる手をとめられなくなってくるだろう。
裏表紙の裏に、宴会に参加したお客様といった形で登場した妖怪のリストがあるのがうれしい。
さあ、全部覚えて、妖怪博士になろう!
内容は面白いのだが
妖怪好きにはテンションがあがる本なのだが、そういったものに興味のないかたはあまり楽しめないだろう。
どこを開いても妖怪だらけだが、物語性はあまりない。行列を作って並んでいるだけといえばそれまでである。
妖怪が楽しそうにやんややんやとしているのを見るのが好きなら、ぜひ。
幼児、低学年向け。
読み聞かせは不向き。
