あらすじ
おれはサメ。
海で威張るのがすきだ。
だがあるとき、人間にキャーキャー言われているイルカを見て、うらやましくなったので、自分もイルカの真似をして泳いでみたら、人間たちは逃げていった。
納得がいかない。おれのほうがカワイイのに。
納得がいかないおれを見ていた月が、脚を生やして歩き回れば人気者になれるかも、というので、脚を生やしてもらうことにした。
しかし……。
断然おれのほうがかわいいサメ
いばりんぼのサメが、あるとき、イルカが人間たちにキャーキャー言われているのを見て、自分も人気者になりたいと行動に出る話。
別の意味で、キャーキャーはいわせられるけど、サメくんの考えているのはちやほやキャーキャーのほうらしい。
イルカがちやほやされているのでうらやましくなったサメくん、イルカの真似をして人間の近くで泳いでみたら、別の意味のキャーキャーで逃げられてしまった。
「なんで にげる。なっとくできん。
おれの ほうが だんぜん かわいいのに!
なんで こんな やつらが にんきものなんだ!」
自分のほうが断然かわいいと言い切れるその自信、うらやましい。
そしてここまで心中オープンなのもうらやましい。
彼の中には、「無理」という言葉はない。
どうしても人気者になりたいサメくん。
お月様が、ある案を持ち出してきた。
「ならさ、あしを つけてあげようか?
うみから おがって あるきまわったら、にんきものに なれるかもよ。」
この案に飛びついたサメくん。
すごい、サメくん、陸にあがるの!?
どんなふうに二足歩行する……の……
サメの胴体腹部から、にょっきり白い脚が生えとる!!!
キモ……怖い!!!
逃げ出す人間たち。そりゃそうである。
どう考えても今のサメくんはこわカワイイなんてレベルではなく、怖いレベルに行っちゃっている。
人間に逃げられたサメくん、抗議する。
「まえより はげしく きらわれたじゃないか!
つきのやつ、いいかげんな こと いいやがって!」
しかし抗議した先には月はおらず、太陽がいた。
太陽はそっぽを向いてこう言った。
「ぼく、かんけいないし……。」
……うん。そうだよね。
月のしたことだもんね。
でもなんていうかさ……もうちょっとこう……。
それでも人気者を諦めきれないサメくん。どうしても人気者になりたい。
何がそんなに彼を突き動かしているのか分からないのだが、とにかく、彼は人気者になりたかった。
そこへ現れたのは大根を持った男。
大根を持った男。
大根……
大根男は、サメくんの身体に大根を押し付け、大根おろしを作った。
サメ肌……だから……。
男は、サメを人気者にしてやるといい、すし屋に連れて行くのであった……。
そうして、サメくんは一躍、わさびや大根を卸せるサメとして、人気になったのだけど……
でも、イルカの にんきとは、ちょいとばかり
ちがう きが する。
うん、違うね。
ちょっと違うよね。
そうして、サメくんは、そろそろ海に戻って、威張ろうかな、と考えるのであった。
白い脚を腹部からにょっきり生やしたままで……。
捕まったらホラーとして取り上げられて別の意味で人気者になると思うけど……。
シンプルで抑え目な表紙に反し、中身はわりとトンデモだった
何よりサメというキャラクターが立っていて面白い。
脚が生えたときは自然に、怖いな……と思ったぐらいだ。
文章の量はそこそこ。
読み聞かせにも向いているかもしれないが、オチらしいオチはなく終わってしまうので、要注意。
低学年向けだろう。
