あらすじ
くしカツさんは、串にみたらしだんご、焼き鳥のネギ、秋田名物きりたんぽ鍋のたんぽを串に刺して、歩いていました。
これにはわけがあって、彼らは串をひょんなことでなくしてしまったのです。
彼らを元の串に戻すため、くしカツさんは歩きます。
すると、お箸がやってきて……。
具材たちは、果たして自分の串に帰ることができるのでしょうか……?
最初の一ページからの衝撃
本書は、冒頭から強烈な一撃をくわえてくる。
いっぽんの くしカツが
みちを あるいておりました。
思わず、二度見。
くしカツが確かに歩いている……。
そんな衝撃の余韻もそのままに、次のページをめくると、さらにわけの分からない状況になっている。
くしカツに見えたそれは、なにやら事情があるのか、いろんなものが串に突き刺さっていた。一番上から、みたらしだんご、焼き鳥のねぎ、秋田名物きりたんぽ鍋のたんぽ。すごい光景だ。
最初の三つはよく見ることのできる具材だが、秋田名物きりたんぽ鍋のたんぽはマニアックさを感じてしまって、ちょっと笑った。ちなみに私はたんぽを食べたことがないので、彼がどんな味なのか知らない。名前は知っているけれど。
そういうわけで、いろんなものが刺さったくしカツ。
彼は、どうしてそんなへんてこな姿をしているのか?
「きみら、はよ じぶんの くし さがしや。
きゅうくつで かなわん。わし、はよタテに なりたいんや」
タテになりたいというのは、たんぽやらだんごやらが刺さっているおかげで、くしカツも本来タテに突き刺さっているところを、横に突き刺さり、ぎゅうぎゅうづめになっているからである。
どうやら、だんごやたんぽ、やきとりのネギは、自分の串をなくしたかどうかして、くしカツのお世話になっているらしい。
いやあ、具材さまざまなくしカツが、普通の人間の歩いている商店街を歩いているという、シュールさ。
世界観にまずツッコミをいれたくなってくる。
自分の串を探しているくしカツに刺さったほかの具財たちは、道すがら、どうして自分の串をなくしてしまったのか語る。彼らの身の上話に、聞くも涙語るも涙……というわけではあまりないが、これも独特のユーモアあふれる身の上話で、ただただ作者のセンスに脱帽する。
さまざまな理由で自分の串をなくした具財たち。
行く先々で、さまざまな出会い、出来事と遭遇し、具剤たちは自分の串を見つける。
お話はめでたしめでたし、となるのだが、この独特な作風とユーモアは何だか癖になりそうだ。
この世界でのくしカツたちは、人間と同じサイズぐらいに描かれているのだが、なぜか食べられるときは、私たちが見かける普通のサイズになっている。……本当に不思議な世界観だ。
笑いこぼれる不思議な世界観
へんてこな世界観の中で、さも当然のように話が進んでいく、お笑い系絵本。
独特な世界観ではあるが、面白い。
幼児、低学年向け。
