あらすじ
スーパーマーケットにいる小さなショッピングカートは、買われていった仲間達がどこに行くのか疑問でした。
大きなショッピングカートに聞いても、他の商品たちに聞いても、誰も買われていった後のことがわからないのです。
ある日の夜、店じまいした後に、小さなショッピングカートは、自分が普段のように鎖で繋がれていないということに気がつきました。
今なら、買われていった仲間達を探すことが出来る。
ショッピングカートは、買われていった仲間達を探しに出かけようと決めました。
小さなショッピングカートの冒険に付き合うのは「せんたくばさみ」、「黒いゴミ袋」、「レタス」、「紙の箱に入ったタマゴ」、「コショウひき」、「袋入りのドッグフード」、「フランスパン」。
全然共通点のない彼らが仲間を探すたびに出ました。
さて、一体、どうなるのでしょうか?
ショッピングカートに乗って、いざ!
この一連のドタバタ劇、いかにも海外らしくて好き。
頭の中でアニメーションで再生されるかのような、テンポの良い展開と多少都合のいい成り行きとちょっとブラックなコメディ。こういう作品の空気って、日本の絵本ではあまり見られないなあと思う。
あるスーパーマーケットに置かれている、小さなショッピングカートが主人公のこのお話。
彼は、お店で買われたものたちがどこに行くのか疑問に思っていた。
大きなショッピングカートに聞いても、まわりの商品たちに聞いても、誰一人として、買われたものがどこに行くのか知らないという。
確かに、売り場から買われていった者達の行く先なんて、売り場にいる者たちには分からないものだろう。「それぞれの家やお店に行くんだよ」と行っても、彼らは今ひとつピンと来ないだろう。
好奇心旺盛な小さなショッピングカートは、ある火の夜、閉店した後、自由に動けることに気がついた。いつもなら、ショッピングカートは鎖でつながれて、動けないようにしてあるのに……。
好奇心旺盛なショッピングカートは、今とばかりに、店で買われていった仲間達を探すことに決めた。
どこをどうやって探すか、なんてことはあまり頭にないようで、とにかく探す、と決め手店の外に出ることに。
彼についてきたのは、「せんたくばさみ」、「黒いゴミ袋」、「レタス」、「紙の箱に入ったタマゴ」、「コショウひき」、「袋入りのドッグフード」、「フランスパン」。
何の共通点もない彼らが、カートに乗って、買われていった仲間達を探しに行くことになる。
駐車場に出たショッピングカートたちは、まず車に惹かれそうになり、大騒ぎ。すんでのところで避けることができたけど、ドッグフードの袋が破けてしまう。
それからさまざまなところを走り、駆け下り、ごみの詰まったゴミ袋に会ったり、雨に行き遭ったりと、カートに乗って大冒険。
木にぶつかった拍子に、ドッグフードの中身が大量にこぼれて、袋がぺしゃんこになり、それきり喋らなくなったというところが軽くブラックだなあと感じる。伏線になってるんだけど、いかにも海外絵本らしいブラックさ。
結局、買われていった仲間達は見つからなかった上に、大きなショッピングカートたちに迎えに来てもらったショッピングカート。今回の冒険はこれで仕舞いだけど、まだまだ好奇心は治まらなさそう。
小さなショッピングカートは、迎えに来てくれた大きなショッピングカートたちに尋ねます。
「どうして、ぼくたちが
あそこにいるって、
わかったの?」
この最後の落とし方がオシャレでちょっとブラックさがあっていい。
絵を見ると一目瞭然なのがいい。
絵本にしては文章量が多い
絵本としては文章量の多いほうで、なかなか読み応えのある文章をしている。
何回も挿入されるコショウの段や、ドッグフードの段などは、まさに海外文学を訳したかのような特徴を備えている。やや文章がくどい。
対象は低学年からだろう。