あらすじ
お姫様は、日が落ちて眠る時間になっても、眠たくないと言ってなかなか寝ようとしません。
それでも、両親に言われて、眠る用意をするお姫様。
ベッドに入りながら、両親に尋ねます。
世界中のみんなが眠るの、と。
両親は、もちろん、と答えます。
一日が終わったらみんな眠る。ネコやコウモリ、クマ、カタツムリ、みんなみんな。
お姫様は眠るのが大好きな動物を知っているといいます……。
眠りの世界にいざなわれるかのような、幻想的で美しい絵本。
幻想的な眠りの世界
眠る時間になっても、眠りたくないというお姫様。
それでも、寝る用意をして、ベッドに入る。
両親に、世界中のみんなが寝るの?と尋ねるお姫様。
勿論だと答える両親。
ネコやコウモリ、鯨だって眠る。
カタツムリも、クマも眠る。
お姫様は、寝るのが大好きな動物を知っていると言い出す。
それはトラだと。
ぐっすり眠るから、トラは強くなる……とお姫様は両親に話す。
まだ眠りたくないお姫様だったけど、ベッドで包まっていると、次第に眠りの中へ引き込まれていく。
だんだん、だんだん……
みんなが眠るように、静かに静かに眠りへ落ちていく。
ページごとの絵がすばらしい。
何かを暗示するかのように描かれた絵のパーツは、思いもしないところに配置され、モダンな雰囲気をかもし出す。
母親の持っている本は『星の王子様』だし、大きなくじらの身体にはマルバツゲームをした鉛筆の跡が残っている。目を見開いたフクロウの玩具、王冠が頭の上に浮かんでいるものたち……なんとも不思議で、モダンだ。独特の世界観である。
話には一つも不思議なところはないのに、絵がかもし出す空気が不思議で、それがなんとも言いがたい魅力となっている。
お姫様が眠りに落ちていくところなどは、幻想的ですらある。
一枚一枚が絵画的で、眺めていると、ため息が出てくる。
夜眠る前に、開きたい一冊だ。
眠る前の一冊に
眠たくないというお姫様と両親の会話、そしてやがて眠りに落ちていくお姫様……と物語性はあまりないのだが、絵が何より幻想的で美しく、不思議な魅力に満ちている。
絵と文が組み合わさって、一つの芸術作品を見ているかのような気持ちにさせてくれる。
幼児、低学年向け。
眠る前に読みたい一冊。
不思議な夢を見ることが出来るかもしれない。