あらすじ
くろくんが手紙を書いています。
手紙というものに縁がないとらくんは、くろくんの手紙を書くという行為の意味がよく分かりません。
でも、くろくんが手紙を書いて、ポストに入れるのを見届けます。
くろくんは手紙のお返事を待ちます。とらくんも一緒に待ちます。
しかし、お返事はなかなか届きません。
がっかりした様子になっていくくろくん。どうしてそんなにがっかりした気持ちになるのか分からないとらくんですが、くろくんがあまりにがっかりしているので、返事の手紙を探しに行こうと二人して出かけることにしましたが……。
手紙のやりとりがもたらす楽しみと、とらくんの友達思いの優しさに心が温かくなる絵本。
手紙をもらう喜び
手紙を書いている、くろくん。
何をしているんだ、と興味を持ったとらくん。
とらくんは、手紙なんてやりとりしたことがないので、手紙のどこがいいのかよく理解できない。
くろくんは、引越ししたシャムちゃんに手紙を書いている。なんて書いているのかというと──
この おてがみに おへんじ ください
もらった相手も困る文面だ。
まさか、本文それだけということはないと思うが……。
そんなわけで、返事はまだかと待つくろくん。でもなかなか来ない。
くろくんはがっかりし始める。
とらくんは、手紙の返事が来ないことがどうしてそんなにがっかりするのか、よく分からない。
でも、くろくんがあまりに落ち込んでいるので、とらくんはお返事の手紙を探しに行くことにする。
「手紙」というものが良く分かっていないとらくんの言動がほほえましくも、友達思いで心が温かくなる。
「おへんじのやつ、きっと どっかで、
みちくさでも くってんだよ。な、くろ?」
なんて友達甲斐のあるとらだろう。
そしてやっと届いた、シャムちゃんからの返事に、くろくんは大喜びする。それを見ているとらくんもとても嬉しそうだ。
でも、やっぱり、手紙のよさが良く分からないとらくん。お返事よりも魚の一匹をもらうほうがいいというが……。
最後は心があたたまる結末で、とても癒された気分になった。
寝床にまで持って入るなんて、本当に本当にとらくんは嬉しかったんだろう。
手紙とは、もらってはじめて実感できる嬉しさがつまっている。
何となく、この友情は、『ふたりはともだち』のがまくんとかえるくんを彷彿とさせた。
ほのぼのとしたいい気分で読み終えることが出来る。
しかし、メールやライン、そのほかの通信手段が発達した現代、手紙という文化は古いものになりつつある。
だが、前者はタイムラグがなくリアルなやりとりができるのと違い、手紙は返事が届くまで時間差があるという特徴がある。内容や目的によっては時間差があることは不便だろうが、急を要さない件での手紙のやりとりでの時間差は、なんともいえないそわそわ、わくわく感がある。これは、メールやラインなどでは味わえない感覚である。
この感覚は、これから先、どうなっていくのだろう。
完全になくなるということはないと思うが、なかなか味わえなくなっていく感覚だろう。
時の流れに切なさを覚えるとともに、人とのつながりについて、何となく思いを馳せてしまう。
心がほんわりと温かくなる絵本
とらくんの友達思いなところに心が温まる。
手紙のやりとりという、最近ではあまりやらなくなった行為がメインに扱われているが、それでもとらくんの友達思いな気持ちが心にしみる。
幼児、低学年向け。
心の温まる内容である。
読み聞かせにも向いている。
