あらすじ
魔法使いのバンダさんは、三児の父親。
会社には魔法のほうきに乗って通勤しています。
バンダさんが家に帰ると、子ども二人が見たいテレビを争ってケンカをしています。
バンダさんは、魔法を使って、テレビをスパスパと切ってテレビを増やし、解決しました。
奥さんはまだ乳飲み子の末っ子の世話で忙しくて、夕飯の準備にとりかかれません。
バンダさんは、しょうがないなあ……と料理することに。
しかし出来上がった夕飯を見て、子ども達は、スパゲティがないと食べない!とワガママを言います。
そこでバンダさんは魔法を使って、えんぴつけずりでスパゲティを作り出すのでした。
今日は魔法の調子がいいぞ、とバンダさんはなにやら壁に絵を描き始めます。
バンダさんは一体何を描いているのでしょうか……?
もしもパパが魔法使いだったら
バンダさんは、三児の父で魔法使い。
魔法使いだけど、9時5時の会社勤めという現実感溢れる設定をしている。
でもやっぱり、魔法使いというのは夢がある。
テレビのチャンネル権で争っていた子ども達を、魔法で解決する。
その魔法とは……
包丁でテレビをスパスパ切って、テレビを増やすこと!
これでみんなにテレビが一枚ずつになって、ケンカせずに済むという寸法だ。
最近は液晶テレビだから、スパスパ切ろうと思ったら、すごく薄くなりそうなのが時代を感じさせる。
いや、そもそも、テレビに厚みがあるのを知らない子がいるのでは……。
あのね、昔はね、ブラウン管のね、テレビがあってね……
ただ、「ただいま」と帰ってきたバンダさんに、「お帰り」と言ってくれない子どもたち……父親の悲哀が垣間見えるようで切ない。
このバンダさん、会社にはスーツと魔法使い帽子という格好で行くのに、家に帰ると魔法使いにつきものの、ゆったりしたローブに着替えている。
子ども達二人もお父さんと同じ格好をしている上、お顔がそっくりなので、三人並ぶと絵面がすごい。
しかし、奥さんは魔法使いルックではなくごく普通の格好をしているので、さらに不思議な光景に見える。
奥さん、なんで普通の格好なんだろう……。
あっ、もしかしたら、ママは魔法使いじゃないのかもしれない。
……というか、会社勤めの魔法使いとか、通勤スタイルはスーツと魔法使いの帽子で、通勤方法は魔法のほうきに乗ってとか、よく考えてみるとかなり謎な世界観である。
奥さんが末っ子(まだ乳飲み子)の世話に忙しいので、夕食を作り始めるバンダさん。
「まほうつかいの ゆうめしは
ぐちゃぐちゃにくの くろこがし、
かえるの にくと へびのちと
どくの きのこと いらくさと
みんな まとめて 800グラム」
魔法使いらしく、おどろおどろしい料理である……。
でも実際できあがった料理は……?
しかし子どもたちは、スパゲティがなければいやだと言う。
そこでバンダさんは魔法で……
手回しのえんぴつけずりで、スパゲティを作った!
最近のえんぴつけずりは自動が多いから以下略
発想は素敵だなと思ったけど、削りカスが残っていたらちょっとイヤだなあ……と思ってしまったのはおとなになってしまったからだろうか。
しかし、やっぱり魔法使いのパパというのは夢がある。
壁に絵を描いて、お風呂を作ってしまうところなんかは、頼もしい。
子どもたちをママが寝かしつけて、夜の静かな時間。
最後のページの、バンダさんとママのイラストがなんとも素敵だ。おつかれさま、といった感じだろうか。
しょうがないなあ、と家のことをやっていくバンダさん、優しい人柄が見えるようで好ましい。
きっと、いいパパなんだろうなあ。
親しみの湧く絵柄と夢に満ちた発想のある、素敵な一冊だ。
ほんわか優しい気分になれる絵本
魔法使いのバンダさんが不思議な魔法を使う、という内容である。
ほほえましい日常に、もしパパが魔法使いだったら……という発想の絵本。
読み終えたとき、不思議とほんわかした気分になれる。
幼児、低学年向け。
やや幼児向けかもしれない。