あらすじ
意味虫のギーチョさんは、早朝、イモムシ会議のために、みんなを起こしてまわります。
みんな起きて会議に向かうのに、ねぼすけのネルチだけは起きられず、寝ていました。
イモムシ会議がはじまると、みんな、葉っぱにメモしたことを発表します。
発表したら、相槌は「ソウデスナ ソウデスナ」。
ところが……
一匹のイモムシの発表が、ケンカを引き起こしてしまったのです……！
そのころ、ようやく目を覚ましたネルチは、イモムシ会議に参加しようと家を出ましたが……。
ソウデスナ ソウデスナ
個性的な絵柄と、個性的なデザインで描かれた絵本。
早朝、イモムシのギーチョさんは、イモムシ会議のために、イモムシに声を掛けてまわる。
声をかけたのに、ねぼすけのネルチだけは目を覚まさない。
この会議、一体、何のための会議なのか？
この会議で話したいことを、葉っぱに描いて持ってくるのが通例の様子。
会議といっても、そんなに深刻で重要そうなものではなさそう。
こうえんのイチョウのきに
アシナガバチがすんでいます
きをつけましょうわたしたちは
さくのきを
かじりすぎて
からだがピンクになりました
にあっていますか？
……という、注意喚起から、どうでもいいやんけ的なものもまで、発表される。
それらの発表に、イモムシはみんな、
ソウデスナ ソウデスナ
……と相槌を打つ。
何を言っても、「ソウデスナ ソウデスナ」。
私だったらちゃんと聞いてるのかと腹立たしくなるところだが、イモムシ会議では恒例の相槌らしい。
しかし、今回の会議では想定外のことが起きる。
となりのハリーさんが
ぼくのきのはっぱを
たべてこまります
この発表が引き金となった。
名前の出されたハリーさんは負けじと言い返す。
そっちこそ、
ぼくの おはなを
からしたくせに！
言い返されたほうも言い返し……会議は大荒れ、乱闘状態に！
ああ、誰も止められないのか……！
そのころ、ねぼすけネルチがようやく会議に向かおうとしていた。
そこでいろいろあって、偶然にもネルチが乱闘状態の会議の真っ只中に突っ込んでくる。
そして、ふっとみんなが冷静になった中、葉っぱのメモを手に取ったネルチは、おなかがすいていたのでその葉っぱを食べた。
するとみんな、つられておなかがすいてきて、みんなでメモ葉っぱを仲良く食べたのであった。
満腹になったところで、ネルチが一言。
「ああ、おいしいかいぎでした！」
遅刻してきたネルチが言う言葉かと思うが、みんなその言葉に、
「ソウデスナ ソウデスナ」
……とのこと。
おなかがいっぱいになって騒ぎが収まったのはよいことだ。
けど、元々争うことになった原因は何一つ解決してないんだけどそれでいいんか？
それでは みなさん、
またつぎのかいぎのひまで
ごきげんよう。
会議終わっちゃったよ！
問題解決何一つしてないよ！
一体何のための会議なのか最後まで分からなかった。
会議は踊る、されど進まず……という言葉を思い出した。
でもまあ、みんなそれでいいみたいだし……それでいいか。
ソウデスナ ソウデスナ。
独特の絵柄と、画面構成が面白い絵本
独特の絵柄と、画面の構成が面白い。
さまざまなイモムシがかわいらしくも個性いっぱいに描かれている。
紛糾した会議を、遅れてやってきたイモムシが状況にそぐわないことをして落ち着きを取り戻し、みんな仲直りしたという内容。
幼児、低学年向けだろう。本文にはカタカナも使用されている。
巻末に、イモムシかいぎの楽譜が載っている。楽譜の読めない私にはどんな曲か分からないが、読める人は歌って楽しむこともできる。
何気なく、表紙、裏表紙の裏に書かれた葉っぱのメモ群が見ていて面白い。
