あらすじ
ある日、船に乗って、画国の城が日本にやってきた。
おしロックのスター、ジョーだ。
ロックスターのジョーを大歓迎する日本の城たち。
ジョーのライブは最高で、みんな盛り上がる。
ライブが終わったら、温泉へ。
それから、おいしいものをごちそうする。
そして……。
お城好きなあなたは、何城か分かるかな?
城好きに送る、最高ロックな絵本、『おしロック』!
謎の迫力に満ちた表紙が個性的な一冊、その名も『おしロック』!
その内容も、謎の迫力と情熱に満ち満ちていたのであった……!
本当に、異様なテンションと、みなぎってくる謎ソウルがびんびんに伝わってくる、謎すぎる絵本だった。
タイトルと表紙からして、つき抜けた絵本だということは何となく察せられたが、予想を裏切らないカオスさに、読み手はただ翻弄されるばかりである。
あるひ、がいこくの おしろが
ふねに のって やってきたんだじょう
……から始まる『おしロック』、お城が船に乗ってやってくるというスケールのでかさは半端じゃない。
この外国のお城は、おしロックスターのジョー!
うたとギターが最高だ!
おしロックってジャンルがあることに驚きだ!
ジョーを歓迎する、日本の城たち。
お城に詳しくないのでなんとも判別しかねるが、恐らく、日本の城は実在の城を描かれているものだと思われる。
沖縄の首里城だけは確認できた。
ジョーのライブで盛り上がる城! 熱気むんむんだぜ!
1 2 3 4 5 ロック!
という文字が紙面を躍る。
意味がわからないと思うが、本当に謎のパワーに満ちたお城たちがロックしている絵本なのである。本当に。
全国の城たちが、ジョーに差し入れをする。もみじまんじゅう、うどん、エビフリャー。それぞれ、その都道府県の名物になっているようなので、やはり実在する城が描かれているのだろう。
ジョーのライブで盛り上がる城。
スケールがでかいが、どうやって移動しているのかとか、ライブ会場は一体どうやって手配したのかとか、そういう細かいことは考えないほうが良さそうだ。
何より、お城たちが一堂に会することなんて、滅多にないことなのではないか。これは熱い。お城好きはマストだ。
ジョーのロイブが終わると、城たちはおしロックスターのジョーをもてなすため、まずは温泉へ。
どんなサイズの温泉かとかそういう細かいことはこの際どうだっていいんだよ!
おいしい食べ物を勧め、ジョーは舌鼓。
城がものを食べている……とかそういう細かいことはどうだっていいんだよ!!
数を数えるときはいつだって、「1 2 3 4 5 ロック!」。
謎のパワーに圧倒され、絵本を閉じることが出来ない。これが、おしロックの力……。
そして城たちは、ジョーに、見せたい景色があるといって……
空を飛んだ……!!!!
空を……飛んだ……。
空……。
この絵本のパワーと情熱、それを表す言葉はひとつ。
さいこうだじょう!
謎のテンションが異様
「おしロック」という単語ひとつで駆け抜けきったかのような、異様なテンションである(肯定的な意味)。
細かいツッコミなど、雑多なノイズにしかならない。
そうだ、これこそがロック。
城たちが熱狂し、城たちが飲み食いし、城たちが生き生きとジョーと過ごす。
ロックは国境を越える。
おしロックは永遠だ。
お城が好きな子は、実在する城を描いているので楽しく読むだろう。
文章はとても少なく、絵がメインの絵本である。
このおしロックの情熱を伝えきれるならば、読み聞かせも盛り上がるだろう……が、ノリにかなり独特なパワーがあるので、一読してから考えることをおすすめする。