これぞ精霊大出現!
インパクト大の大図鑑である。
ただでさえインパクトのある絵柄をしているのに、見開きのさらに折り畳んだもう一ページを開くとばかでっかい精霊の姿が出てきて仰天する。
どこか愛嬌がありながら、そこはかとなく不気味さの感じられる絵は、人外のものたちを描くと本領発揮といったところだ。作者がのびのび描いているのが伝わってくる。こういう生き物(?)の絵を描くのが大好きなのではないか。
本書のタイトルにあるとおり、この本は図鑑なので、物語性はないが、精霊ごとに名前と、出会ったときのこと、簡単な出没時間や場所、時間などが書き添えられている。図鑑を眺めるのが好きな子、妖怪や精霊などが好きな子には楽しい図鑑になるだろう。
あまり聞いたことのない精霊がほとんどだったので、創作されたものなのだろうか。作者が出会ったり聞いたりした精霊を描く、という体裁を保っている。
とにかく迫力満点で、見るものを圧倒してくる。
「コワかわいい精霊もいる」と本書に書いているが、かわいい要素がどこにあるのかわからない。とにかくインパクトが大きくて、かわいいなあと思う余裕がないのだ。何度か読み込めば、かわいい要素が見つかるかも……。そういえば最後の「もぐりんこ」は響きがかわいかった。
寝る前に読むと、夢に出てきそうである。
リアルな精霊の姿が、迫力満点に描かれている。
精霊についての解説文を読むと、どことなく、水木御大の妖怪図鑑を彷彿とさせた。そうそう、この感じ、この感じなんだよなぁ、と思うのだが、うまく表現する言葉が思い浮かばない。知っている人が読めばなんとなくわかってくれることかと思う。
やっぱり人は、人外のものに惹かれる気質があるのかな、とほろりとした。
ただ、精霊とはいっても、西洋の美しく可憐な精霊ではなく、日本の土着妖怪っぽい精霊が多数なので、この絵のインパクトが嫌いではない人向けではある。残念ながら、この個性的な絵柄は、だいぶ人を選ぶだろう。
この絵のインパクト……どこかで……と思ったら、あの『ちょうつがい きいきい』の絵のかただった。
さ、さすがである。
絵を見て楽しむ絵本
図鑑であるので、読み聞かせには向かない。
解説文がしっかりとした文章になっているので、低学年から中学年向けだろう。
ただし、好みの分かれる絵柄の上、絵のインパクトがすごいので、耐性のある子におすすめする。怖いものが苦手な子には、ちょっと刺激が強すぎるかもしれない。