あらすじ
ある晩、5ひきのねずみは、ねずみ掲示板にレースのお知らせがはりだされているのを見ました。
優勝景品は、見たこともないくらい大きなチーズです。
5ひきはレースに出場することにしました。
早速、5ひきは話し合いながら、レースに出場するための車作りに取りかかりました。
町のあちこちから、材料を調達して……5ひきは力をあわせて、車を作ります。
手作り自動車で挑むねずみのレース、5ひきは優勝できるのでしょうか……!?
これから始まる町のレース!
これは王道のレースものだ。
5ひきのねずみが手作りの車に乗って、レースに出るというもの。
景品は、「みたこともないくらいおおきなチーズ」。
5ひきがいろいろと話し合って、力を合わせてつくりあげた手作りのレーシングカー。
しかし、本番前に、おもちゃ屋のねずみたちが、宣戦布告するようにあおってくる。
おもちゃ屋のねずみたちが乗るのは、ぴかぴかの赤いラジコンカーだ。残念ながら、電池が動力源の5ひきのねずみたちが作ったレーシングカーと、ぴかぴかのラジコンカーを比べると、5ひきのねずみたちが作った車のほうが見劣りすることは否めない。
本番前のライバルの出現もレースものの王道だ。
王道通りに、優勝を巡って熾烈な争いを繰り広げるのは、このおもちゃ屋のラジコンカーになる。
ついに始まったレースは様々な困難が待ち受けている。
人間が行き交う道、道路横断、そして犬! 困難は次から次へと襲いかかってくる。レースものには、途中の困難がつきもの。5ひきのねずみたちはうまく困難を切り抜けたり、運で乗り越えたりして、優勝目指してひた走る。
困難を前に、次々と脱落していく、ほかの参加者たち。
脱落してしまったねずみたちは、5ひきのねずみたちに声援を送って退場する。このレースはあくまでスポーツ。悪態をつく参加者などいない。
さあ、残ったのは、あのライバル、赤いラジコンカーだ。
ほかの参加者たちはみんな脱落してしまい、優勝をを競うのはおもちゃ屋のラジコンカーのみとなってしまった。
しかも、このおもちゃ屋のねずみたち、レースが始まってすぐにトップに躍り出たためか、余裕をこいておやつタイムを取っている始末。「うさぎとかめ」の話が頭に浮かぶ。
のんびりおやつタイムをとっていたおもちゃ屋のねずみたち、5ひきのねずみの車が抜いていったのを見て、大慌て。急いで坂道を降りたためラジコンカーは横転。その間にも、5ひきのねずみの車はゴールを目指して走る走る!
しかし、5ひきのねずみの車も、ゴールを前にして、トラブルが発生する。これもレースものの王道だが、やはり見ていてはらはらどきどきする。5ひきのねずみたちは優勝できるのか? 追いかけてくるおもちゃ屋のラジコンカーに負けてしまうのか?
スピードでは、ラジコンカーのほうに分がある。さて……。
景品のチーズの、おいしそうなこと!
最後の町のねずみたちのちゃっかりしたところは思わず笑ってしまう。「おめでとうチーズ!」って、本音丸だしじゃないですか……。
レースものの王道をいく絵本
読んだ印象では、良くも悪くも王道のレースもの。
レースや車が好きな子には楽しめる絵本だろう。
山あり谷ありのレースははらはらどきどきして読める。
スピードに分があるラジコンカーに、主人公たちの手作りの車が勝つという展開はスカッとするし、何より宣戦布告してきたラジコンカーに勝てたのがうれしくなる。
主人公たちが参加者に設定されているため、優勝は彼らになるのだろうと安易に想像がつくが、それはおとなの冷めた目線というものだろう。
ただ、主人公が5ひきもいて、それぞれ名前も出てくるのに、あまりキャラクターが立っておらず、誰が誰だか把握しづらいのが残念だ。
レースのほうに重点を置くのは正しいとはいえ、キャラクターごとに活躍の場があればよかったかもしれない。
みんなで楽しくチーズを食べている場面は、見ているほうも楽しくなってくるようである。特にチーズをほおばっているねずみのおいしそうな顔は、いかにも幸せそうですばらしい。分け合うことのすばらしさが伝わってくる。
起伏に富んだお話は読み聞かせに向いているが、文章量は意外に多く、子どもの集中力と要相談。
