あらすじ
アレクサンダは人間の家に一匹で住み着いているねずみだった。
人間たちは、彼を見ると悲鳴をあげ、ほうきで追いかけたりした。
あるとき、アレクサンダは、ゼンマイ仕掛けのねずみのおもちゃ、ウィリーと出会う。ウィリーは人間に大切にされていたおもちゃだったが、二匹は親交を重ね、仲良しになった。
しかし、アレクサンダはひとりぼっちで自分のかくれがにいるとき、ちやほやされているウィリーをうらやましく思った。
ウィリーになれたらどんなにかいいだろう、とアレクサンダが思うようになったころ、アレクサンダはウィリーから不思議な話を聞いた。
庭に、生き物をほかの生き物に変えることのできるとかげが住んでいるというのだ。
アレクサンダは、ウィリーのようなゼンマイ仕掛けのおもちゃになりたいと願いを持つが……。
ねずみと、ねずみのおもちゃのささやかな友情を描く
レオ・レオニの絵本の素朴な絵は特徴的で、一見してすぐにそれとわかる。かわいらしくもアーティスティックな側面を残したレオ・レオニの絵は、改めて言わずとも見るものの目を引きつけてやまない。それだけ親しみやすい絵柄と雰囲気を築き上げているということだろう。
レオ・レオニの世界は絵だけにとどまらない。
その絵本の内容もシンプルでありながら、心に訴えかけてくる力を持っている。絵と話、それが合わさっての、レオ・レオニの絵本なのだ。
私は特に、レオ・レオニの描き出すねずみが好きだ。シンプルな形をしているのに、かわいらしく愛嬌があり、生き生きとしている。この小さな生き物の、ちょこまかと動きまわる姿が目に浮かぶようで不思議だ。そして、レオ・レオニの描くねずみたちは、みな懸命に生きている。
『アレクサンダとぜんまいねずみ』は、その副題の通りに友達を見つけたねずみの話だ。
孤独に生きてきたアレクサンダに共感するのは、人間の拭いきれない孤独を見るようだ。彼がぜんまいねずみの友を見つけたとき、そのささやかな友情が続くようにと願う反面、私たち人間の拭いようのない孤独を思う。そうしてかけがえのない友を得たいと願い、幸運にも今すでにかけがえの友のいる者は、その友を大切にしようと思うだろう。
人と孤独は切り離せない。
しかし、長い人生の旅を歩むとき、よき友の存在は光明のようである。
かといって、『アレクサンダとぜんまいねずみ』が哲学的一辺倒のお話だというわけではない。難しいお話ではまったくもってない。
お話はずいぶんとかわいらしく、ファンタジーなメルヘンに富んでいる。希望は奇跡となって、アレクサンダにかけがえのない友人をもたらした。彼は孤独な生活に光を得たのだ。アレクサンダの願いが見事かなえられたとき、私たちはほっと安堵するとともに、彼らの未来に幸福を願わずにはいられなくなるだろう。
彼らの友情が、末永く続きますようにと。
