感動した! 絵本3冊紹介!
今日は、胸打たれる本ということで、まあ絵本というものはいろんなものがあって胸打たれる事もしょっちゅうなんですが、今回は同じ作者さんの本3冊をご紹介したいと思います。
どれも斎藤隆介という方の本です。イラストの切り絵は滝平二郎さんという方が作られています。
人気の絵本なので、知っているという方も多いのではないかと思います。
本当は一冊一冊丁寧にレビューしたかったんですが、今から紹介する3冊は3冊で特別枠にいるので、この際ご紹介しておこうと思います。
胸打たれるお話と画
『半日村』
【あらすじ!】
半日しか日のあたらない貧しい村。半日しか日が当たらないのは仕方のないことだとみんなが諦めていました。
そんな中、ある少年が山から土砂を運び、それを捨てる行動に出たのです。少年は山を削って、日のあたる時間をのばそうと考えていたのでした。
最初は馬鹿にしていたみんなですが、あまりに懸命に少年が頑張るので、次第に周囲も少年を手伝うようになります。その山を削るという行為は、少年がおとなになっても次の世代に引き継がれていき、そしてついに……。
【簡単な感想!】
人がたくましく生きる美しさが伝わってくる。
少しずつでも、少しずつでもやりとげていく。問題解決のために何か行動を起こすこと、それをやり続けること、力を合わせること。そうすることで、圧倒的な困難に思えた壁をも乗り越えられる人間の強さとたくましさに胸が打たれます。
最後は、「おお、おお、日の光が我に……!」というなんかのRPGの台詞みたいな気持ちになると思います。
『花さき山』
【あらすじ!】
山菜をとりいって、そこで山姥に出会った少女。周囲には見た事のない花が咲いています。
山姥は、心の優しさがこの花を咲かすのだと話します。人を思う優しい心が、またひとつ、花を咲かせるのだと。
【簡単な感想!】
これがもう、頑張ってこらえている姿が胸打たれる。
誰かから辛抱することを強制されているわけではなく、優しい心から自然と生じた辛抱なんですよね。
そのことに温かい言葉がかけられるわけでも、ほめられるわけでもないのに。
そんな心が結晶化したかのように、花が咲く……。
この本は、辛抱なさいと説教しているわけではありません。人を思いやるという心の美しさを描いた絵本です。でも……
山姥の絵が怖い
『モチモチの木』
【あらすじ!】
怖がりで臆病な少年は、一人でトイレにもいけない。少年はおじいさんと二人で暮らしていた。
ある夜、おじいさんの具合が悪くなった。
お医者さんに見せないと大変だ、と少年は真っ暗な夜の中、医者を求めて家を飛び出します。そのとき……!
【簡単な感想!】
主人公の、大切なもののために勇気を出す姿に心打たれます。大切なもののためなら、夜の闇だって怖くない。こんな美しい勇気があるでしょうか。
暗闇の中お医者さんを求めて走った主人公だったのに、おじいさんが無事だと分かるとまた臆病に戻ってしまったところが人間くさくていいと思います。
なんで今さらこの名作絵本を?
実は、子どもの頃、表紙の絵が怖くて意図的に避けてたんですよね。
なんというか、全体が黒いし、基本的に登場人物はみんな笑ってないので怖かったんです(『モチモチの木』のおじいさんは笑ってるけど主人公は笑ってない)。
表紙から迫力というかそんなパワーがビシバシ伝わってきて、恐れをなしたというほうが正しいかもしれません。
でもこの本、学校では推薦図書として図書室に飾られていました。こう、図書室に入るとバーンと目に入るわけですよ。子ども心に、勘弁して~ってなってました。
本当に怖かったんですよ。小学生の私は。
勇気をふりしぼって『モチモチの木』を開いてみたんですが、民話の語り口調が難しくって、絵も何だか迫力あって怖いし、……という感じでおとなになるまでろくに読んでこなかったんですね。
おとなになってからトラウマを克服すべく手にとって読んでみたら、まあこれがもう心打たれるいい話。分かる分かる子どもに読み聞かせしたくなるよね! ちょっと人のこと考えるまでに至ってない子とかいるとこの話を聞くんだ!ってやりたくなるよね これは推薦図書になるわけだ!……と納得。
このおとなになってから分かる感すごい。
私の場合はめぐり合わせが悪かったんですね。小学校にあがるかあがらないかぐらいの時期に、「怖い」とレッテルを貼ってしまったので。
そういう意味では、本との出会い方って重要だなぁと思います。
でもやっぱり対象は低学年向けではないと思う……
この3冊は小学校中学年から高学年向けが対象でしょう。民話調の語りは雰囲気があっていいのですがやっぱり、低学年には難しいです。
実際、読み聞かせて見ましたが一部の子は興味を示さずでした。
『モチモチの木』、怖いと思いながらも、タイトルだけは何だかおいしそうだなとは小学生の頃から思ってましたけどね。