ああ忙しい忙しい、えっちゃんは朝からお母さんのお手伝いでお月見だんごを作っています。
すすきの穂、お供えの柿に栗にブドウを準備したら、なにやら空模様が怪しく……?
なんと、大きい雲、「でかぐも」さんがどっかりお空にいるではないですか。
これではお月見ができません……?
お月見のために、箱電車にのって空へ!
このままではお月見ができない!
すると、こねこのミュウがおもちゃ箱のおもちゃを全部外に出して、中に乗り込み、えっちゃんにも乗るように声を掛けてきます。えっちゃんが戸惑いながら乗り込むと、なんとおもちゃ箱が電車のようにごとごとと動き出し、空を飛んだではありませんか!
そしてそのまま、窓から空へ。
「いそげや、いそげ、それ いそげ。
でかぐもさんまで ひとっとび」
なんと、でかぐもさんに直接話をつけにいこうというのでしょうか……!?
えっちゃんとミュウは、おもちゃ箱の電車に乗って、でかぐもさんのところまで行きます。
すると、でかぐもさんは眠っているようです。
眠っているでかぐもさんを起こし、お月見ができなくなってしまうからここで昼寝をしないでほしいと訴えます。でかぐもさんは困った様子で、海のほうに行きたいけれど、かぜっこたちがいないので動けないといわれてしまいます。
そうとなれば、そのかぜっこたちをつれてくるしかありません。
さて、えっちゃんとミュウを乗せた箱電車は、かぜっこたちのところに行けるのでしょうか。果たして、夜にはお月見ができるのでしょうか──?
暖かなイラストがほっと心を和ましてくれる、素敵な一冊
お話もかわいらしくて素敵なのですが、なんといってもイラストがほっこりと暖か。コスモス畑のページなんて、圧巻です。素敵の大洪水。本の表紙もふわふわとしたコスモス畑なんです。お月見の話といったら、夜空に浮かぶ月をイメージしがちですが、本書の表紙は、一面ピンクのコスモス畑! お月さまが表紙にいないお月見の本なんて新しい。
秋の夕暮れの場面も本当にすすきの穂を揺らす風を感じられるようです。秋のそよ風って、いろんなものを含んでいますよね。寂寞とした気持ちにさせます。
夕日の場面なんて、本当にもう、美しい。ノスタルジーに浸らせてくれます。
お月見の季節に読み聞かせたい
文章は平易で、読みやすく、すべてひらがなです。
一人読みも可能ですが、読み聞かせにも向いているでしょう。ふんわりとした話で極端な話の盛り上がりはないため、聞き手の心を掴むのにやや苦労するかもしれません。小学校低学年までぐらいが対象でしょう。
お月見の季節にちょっと読み聞かせしたい一冊です。
