絵本の森

『フンガくん』──きかんぼうの子と慣れた対応のお母さん

あらすじ

きかんぼうのフンガくん。
何かあると、だだをこねたり、へそを曲げたりします。
そんなフンガくんと、お母さんのやりとりを描いた一冊。短編が四つ収録。

「じてんしゃのまき」
新しい自転車を買ってほしいフンガくん。だけどお母さんは買ってくれません。ほしいほしいとだだをこねていると、いつの間にかお母さんがいなくなって……。

「せんとうのまき」
銭湯にきたくなかったのに、無理につれてこられたフンガくん。
へそをまげて、お風呂に入ろうとしないフンガくんでしたが……。

「そうじのまき」
テレビを見ていたフンガくん。お母さんがパチンとテレビの電源を切ってしまいました。もっと見ていたかったのに。怒り出すフンガくんでしたが……。

「ふとんをほすのまき」
もっと寝ていたいのに、起こされたフンガくん。フンガくんは泣き出しますが……。

 

きかんぼうの子とうまく接しているお母さん

きかんぼうのブタのフンガくん。
すぐへそを曲げたり、だだをこねたりするけど、お母さんはフンガくんの性格がよく分かっている様子。うまく接しているところがさすがお母さんといったところである。

絵本だが、短い話が四つ入っている。
どれも、フンガくんのきかんぼうぶりが炸裂するのだが、それにお母さんがうまく接していなしているといった感じの内容である。

「じてんしゃのまき」では、フンガくんは、新しい自転車がほしいほしいとお母さんにだだをこねる。しかし、お母さんは今あるのがまだ乗れるでしょ、とフンガくんのだだを相手にしない。やだやだほしいほしいとフンガくんががんばっているのに、お母さんはご今所さんと世間話に夢中だ。そして、フンガくんがハッと気がついたときには、お母さんがいなくなっていた。あわてて、お母さんを探すフンガくん。お母さんをようやく見つけると、お母さんは、今から花火大会が始まるわよ、と言ってフンガくんを花火大会につれていってくれるのである。

きかんぼうが炸裂しているときはなにを言っても無駄。冷却期間をおいてから、切り替える。お母さんの慣れた対応に脱帽。フンガくんも、あれ?あんなにきかんぼうだった気持ちがいつの間にかなくなってる、と不思議がるほど。

短い話が四つも入っているが、すべての話が同じパターンである。
フンガくんがきかんぼうを炸裂させる→お母さん相手にしない→きかんぼうを炸裂し続けるフンガくん→フンガくんお母さんがいなくなっていることに気づく→お母さんを探し回ってお母さんを見つける→お母さんがぜんぜん関係ない話題を持ち出す(頭を切り替える)

きかんぼうを炸裂させるフンガくんだが、お母さんの対応によって、頭が一度冷えるので、怒りを持続させることもない。気持ちが切り替わるところを描いた作品だ。

話が四つも入っているのがなんだかお得感があってうれしい。
短い話だが、起承転結がはっきりしているためかおもしろく読める。
話を楽しむタイプの絵本だ。

 

文章の量は少なくはない

話を楽しむタイプの絵本なので、文章はそこそこにあるが無理のない範囲。短編集なので、読み聞かせの時間配分がしやすい。
幼児、低学年向け。