あらすじ
ぼくの家に、変なのがやってきたせいで、ぼくの環境は変わった。
お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、変なのばかり見ているのだ。
納得いかない。
気に入らない。
ぼくは考えた。
そうだ。あの変なのを誰かにあげちゃえばいいんだ。
そこでぼくは早速、「変なのあげます」のチラシを書いたのだが……。
変なのがやってきた
お母さんにだっこされて、その変なものは家にやってきた。
その変なものとは赤ちゃんなのだが、主人公のぼくは、赤ちゃんが家にやってきたせいで、両親や祖父母の注意が自分に向かなくなって、気に入らないのだ。だから「変なもの」呼ばわりなのだろう。
主人公のぼくは、お父さんやお母さんの関心を取り戻すため、行動を起こす。
へんなのを、誰かにあげてしまえばいいのだ!
そこでぼくは、「へんなのあげます」と書いたチラシを友達に配りまくる。
生まれたばかりの赤ちゃんは、実はあまりかわいくないものだ。
その赤ちゃんの顔をまじめに描いたものだから、「へんなのあげます」のチラシの評判は最悪。
そこでぼくは考えて、かわいらしい女の子の赤ちゃんの絵を描き、「かわいいあかちゃんあげます」のチラシを作る。
すると、友達が赤ちゃんを見に来た。しかし、絵のかわいらしさとはぜんぜん違う、猿みたいな顔をした赤ちゃんを見せられて、友達は「チラシとぜんぜん違う」と帰ってしまうのであった。広告に偽りありといったところだ。
それからぼくは一生懸命営業努力するのだが、評判は芳しくない。
しかも、お母さんには、赤ちゃんと遊んでくれてありがとうといわれる始末。
イルカショーをテレビで見ていたぼくは、さらなるいい案を思いつく。
そうだ、何か芸をすれば誰かがもらってくれるかもしれない。
そこで、ぼくはビーチボールをつるして、一生懸命、赤ちゃんに芸を教え込む。
最初は見ていただけの赤ちゃんだったが、次第にビーチボールに反応するようになり、ボールをキャッチするまでにいたる。
芸を教え込むとは言っているが、その毎日の訓練を描いた様子は、いいお兄ちゃんと赤ちゃんの姿にしか見えない。
そうしてついに、芸ができることが決め手となって、赤ちゃんのもらい手がつくのだが、そのときにはぼくの気持ちも変わっていた。
「あげないもん!」
だって
だって
だって
だってぼくの……
いもうとだもん!
赤ちゃんと接しているうちに、芽生えてきた兄の自覚。
はじめは「変なの」呼ばわりだったのが、「妹」に変わった瞬間だ。
それはとてもほほえましく、頼もしく思える。
最初はいやがっていたぼくの気持ちが、交流を通じて変わっていく様を描いた心温まる一冊である。
話を読むタイプの絵本
話を楽しむタイプの絵本だが、そこまで文章は多くない。
主人公のぼくの気持ちが文章と絵で描かれている絵本である。
幼児、低学年向け。