あらすじ
ある日曜日の朝、男の子はすることがなかったので、シャベルを持って穴を掘ることにした。
穴を掘っていると、いろんな人が話しかけてくる。
男の子はそれでも穴を堀り続け……。
シンプル……
すごくシンプルな内容の本である。
あまりにシンプルなので、いろいろ考えようとしてしまうおとなは、いろいろ考えてしまうかもしれない。
でも別に無理していろいろ考えなくてもいいのかもしれないという気持ちにもなる不思議なノリの絵本である。別にお笑い系の絵本ではない。
ある男の子が、日曜日の朝、することがなかったので穴を掘ることにした。シャベルを使って、ざくざくと掘っていく。
掘っている間、妹やお母さんや、お父さん、友達など、いろんな人が声をかけてくる。「なにをしているの?」とか、「がんばれよ」とか。でも男の子反応は、それほど激しくない。「まあね」「そうだね」と、さらりと受け流して、ひたすら穴を掘っていくのである。
しばらく掘って、男の子は穴の中に座る。
ふー、といった具合である。
この穴はぼくの穴だ、と考えるのである。これは居場所を作ったかのようにも思えるし、心のいやしを得たかのようにも見える。
穴に座った男の子に、また再びいろんな人が声をかけてくるのだが、男の子の反応は薄い。薄いというか、淡々としている。
そして男の子はどうしたのかというと……
掘った穴を埋めていくのだ。
この穴は、ぼくの穴だと思いながら。
穴を掘って、穴を味わって、穴を埋める。それだけのシンプルな内容なのである。
シンプルゆえに、いろいろと考えてしまう。
でも、答えはないのかもしれない。
これを読む子どもたちは、ただ単に穴を掘って穴に座って、穴を埋めるという展開におもしろさを見いだすのかもしれない。
穴を掘っていく
文章の量は少ない。
話の展開はシンプルで、難解なところはひとつもない。
幼児、低学年向けだろう。