絵本の森

『からからからが…』──不思議な「すがたかえ」の抜け穴。意地悪なばあさんが入ってしまったのだが……

あらすじ

昔、あるところに、長い抜け穴があった。
この抜け穴は、「すがたかえ」と呼ばれていた。
なぜそんな名前で呼ばれていたのかというと、この抜け穴に入って出てきたものは姿が変わってしまうからだった。

ぬさというおばあさんがいた。
このおばあさんは、意地が悪く、おまけに守銭奴。
あるとき、このばあさんは、近くにすむじいさまの猫を、軒先にフンをしたという理由で痛めつけ、軒先につるしてしまった。

これには怒ったじいさま。
ぬさばあさんを、「すがたかえ」の抜け穴に入れてしまう……。

 

すがたかえの抜け穴を通り抜けたら……

日本昔話風絵本。
昔、あるところに、長い抜け穴があった。
この抜け穴、とても長い抜け穴で、朝早く入ったと思うと、でてくるのは夕方ごろというほどのながーい抜け穴だった。
この抜け穴は、「すがたかえ」と呼ばれていた。

なぜかというと、中に入ったものがでてくるときには、ほかのものに姿が変わっているからである。
ふつうに考えても危険な抜け穴である。
村の人たちは、この「すがたかえ」には近寄らないようにしていた。賢明だ。

 

話変わって、この作品には、「ぬさ」というおばあさんが登場する。
このぬさおばあさん、性格が超悪くて、守銭奴という、あまり近くにいてほしくないタイプのおばあさんだった。ここまで自分本位に行動できれば爽快だろうなという感じである。

このぬさおばあさん、やりたい放題おばあさん。
自分の家の軒下にフンをしたといって、ねこを痛めつけ、軒下につるしてしまった。

それに怒ったのは、ねこの飼い主のじいさま。
これまでもいろいろいやなことをされてきた。腹の据えかねたじいさまは、いいことを考えついた。

 

そう、「すがたかえ」である。

 

「すがたかえ」に入れてしまえば、ちょっとは気が晴れるのでは?
……ということで、怒っていたじいさまは、うまくいってぬさばあさんに目隠しをして、彼女を「すがたかえ」に入れてしまった。

 

はてさて、ぬさばあさんは、いったい、どんな姿に変わって出てくるのか。
村の衆が集まって、「すがたかえ」の出口で待っている。
しかし、待てくらせど、ぬさばあさんが出てこない。

ちょっとやりすぎたんじゃない?との声も出てきた。神様もぬさばあさんをなにに変えていいのかわからないのでは?という失礼な発言も出てきた。いや、あのばあさんただでは出てこないだろうという発言も。

 

そのとき、ぽっくーんと出てきたものがあった。
なんと、それは、大きなたまご!
白い大きなたまごが出てきたのである。

 

ぬさばあさん、たまごになっちゃった……。

 

このたまご、たたいても蹴っても、道具を使っても割れない。
そこで、たまごは暖めれば割れるかもしれんと、280羽のにわとりに、99夜たまごを暖めさせた。

すると、ぱりぱりとたまごが割れてきた。
中から出てきたのは……

 

たまご。

 

なんと、殻の中にまたたまごがあったのである。
村の人たちは、殻を次々むいていった。むいてむいてむいて……ついには、小指ほどの小ささになったたまご。
中からぴょこんと飛び出したのは……

 

手のひらに収まるぐらいのミニマムぬさばあさん。

 

なんぞいな……。
かわいくないちっちゃいばあさんである……。
村の人たちの反応が書かれずに終わるので、どんな雰囲気になったのかはわからないが、何とも言いがたい微妙な雰囲気になったに違いない……。

 

日本昔話風の、軽快なわらい話である。
「すがたかえ」の話は、ほかの絵本でも見た。『すがたかえ』である。
こちらのほうが結末が笑いやすいものになっていると思う。

 

昔話風の笑い話

文章も口語なので、読み聞かせしやすい。
猫がかわいそうだが、それをのぞけば誰も傷ついていない笑い話だ。
読後もさらっとしている。
幼児、低学年向け。